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RUDDIGORE
or
The Witch's Curse - Act II, 2/2
(ラディゴア または 魔女の呪い：第二幕 後半)
第二幕 前半より続く
≪第二幕後半のあらすじ：
かつて邪悪だったデスパード卿と狂女マーガレットは、きちんとした身なりで現れる。彼らは結婚しており今は教区の貧民のための正しい行いをしている。しかしマーガレットは時々発作を起こし完治はしていない。二人は教区訪問員としてラディゴア城を訪れ、ロビンの 10 年間の逃亡を非難するとともに彼に犯罪を犯さないよう説得する。ロビンはその説得を受け入れ、死や苦悶は厭わないと宣言する。
アダムがほうほうの体で現れ、命令された娘をかどわかして来たとロビンに告げるが、アダムが連れて来たのはハンナ老婦人であった。ハンナはかどわかしを怒りロビンに短剣で襲いかかりロビンは防戦一方で先祖に助けを求める。すると、ハンナのかつての婚約者であった故ロデリック卿が額縁から現れ、激怒しロビンを追い出しハンナとの昔の熱愛を思い起こす。
ロビンと登場人物全員が現われる。ロビンは、ロデリック卿に日課の犯罪を拒否する行為は、死の運命が待っており、それは自殺を企てる行為に等しいので、重犯罪と言える。つまり毎日犯罪行為を拒否すれば魔女の呪いに従い犯罪を犯すことになり死ぬことはないという論理を展開し全員納得する。
大団円ではロビンはローズと再び結ばれ、ロデリック卿はハンナと、リチャードは花嫁付添娘のゾラと結ばれハッピーエンドとなる。
≫
歌曲リスト
第二幕 後半
22. I once was a very abandoned person (Margaret and Despard)
23. My eyes are fully open (Margaret, Sir Ruthven, and Despard)
24. There grew a little flower (Hannah with Sir Roderic)
25. Finale Act II (Ensemble) "When a man has been a naughty baronet", "For happy the lily" (reprise) (Ensemble)
第二幕 後半
（デスパードとマーガレット登場。 彼らはフォーマルなカットの地味な黒い服を着ており、第一幕とは大いに対象的ないでたちとなっている）
I once was a very abandoned person
二重唱 ： デスパードとマーガレット
デスパ： かつての私は大いに不道徳な人間であった ―
マーガレ： 邪悪の中の最もたる邪悪の機会をのがさず。
デスパ： 誰もこれ以上思いもよらない悪しき ―
マーガレ： 古のあらゆる騎士物語にさえなきことを。
デスパ： 赤面するは我が荒々しき所業、
しかし優しさが
心の中で耐えていた。
マーガレ： 私たちは境遇の犠牲者だった！ （踊り）
あれは私たちが非難されなかった踊り。 ★
マーガレ： かつての私は非常に変わった娘だった ―
デスパ： 癇癪と妄想に苦しんでいた。
マーガレ： 牧師さんは私の品行に黒い影を見た ―
デスパ： 彼女は衣料品に散在することなんてなかった。
マーガレ： 姿見の前の自惚れ屋さんには楽しいことね、
私の生き方は変わっている
あらゆることで ―
デスパ： どの新聞にも短評が載った。 （踊り）
私たちは悪ふざけの踊りを相当にカットしただけ。 ★
デスパ： 私は全ての野蛮な行為をやめてしまった。
マーガレ： 私の放蕩癖は終わりに近づいた。
デスパ： 今の私は貧乏人向けの娯楽読みの達人。
マーガレ： それらはとてもすごい娯楽とは言えない。
デスパ： 節度ある生計を私たちは立てている。
マーガレ： 実際私たちが経営するは
国民学校。
デスパ： その責務は退屈なもの、だが文句は言わぬ。 （踊り）
このようなことには多大なる訓練を要す！ ★
<< ★：このマークのある行は、各踊りに対するコメントを示しているようだ。
国民学校 national school は貧民のための有志学校。国教会の教義に基づく教育が行われた。 >>
ダイアローグ
デスパ： 結婚して一週間がたつね。
マーガレ：幸せな、幸せな一週間よ！
デスパ： 僕らの新生活は ―
マーガレ：本当に悦びに満ちているわ！
デスパ： とても穏やか！
マーガレ：とても熱情に欠け！ （狂ったようになり） 旦那様、全てあなたのおかげ！ ねえ、もう私はだらしなくも不精でもなくなったわ。 髪は櫛でとかしてあるわ。 顔は洗ってあるわ。 靴はきちんと紐を結んであるわ！
デスパ： マーガレット、よしなさい。 どうか自制しなさい。 思い出すんだ、今の君は教区の訪問員なのだから。
マーガレ：優しき教区訪問者ね！
デスパ： 君には秩序、几帳面、整然だろう； 気持ちの高まりは奥底にしまっておくんだ。
マーガレ：そうします！ （狂ったようになり） 旦那様、あなたが何でも私にしてくれたと思ったのなら、わたしは旦那様の足元にひれ伏します。 あなたの踵を抱き寄せましょう。 あなたの膝を腕に抱きましょう！ （その通りにする）
デスパ： 黙って。 良くないことだよ。 これは計算づくの挑発行為だろ。 落ち着きなさい、どうか！
マーガレ：ああ！ あなたは哀れな狂女マーガレットに怒ってらっしゃるのね！
デスパ： いいや、怒ってなんかいないさ； でも教区訪問者というものは劇的な行為を慎むことを学ばねば。 貧しき者を訪問すること、あらゆることで、彼らにお茶や大麦湯を与えるのだ、でもまるで毒あるベラドンナを投与するように見せてはいけないよ。 彼らを混乱させるから。 それに君が病気の人たちを看護している時、彼らが期待薄の状態の時、なぜヒステリックスになるんだい？
マーガレ：そうしちゃ駄目なの？
デスパ： 何故って病室でビクビクしすぎだからだよ。
マーガレ：おかしなこと！ ああ、旦那様！ 旦那様！ ― どうやって夢中になった感謝の気持ちを表せばいいのかしら ― （彼女は彼の足元にひれ伏そうとする）
デスパ： いかん！ （注意するように）
マーガレ：はい、分かりました、あなた ― もうしません。 （彼は腰を掛ける、彼女は彼の傍らで地面に座る） あなたに哀れな狂女マーガレットの変な考えをお教えしましょうか？ まあ、では、私が夜眠れずに横になっていると、それから青白い月の光が格子戸の部屋に差し込む時、狂った私の頭にはおかしな想像が押し寄せて来るの、それで私が時々思うのはもし私たちにある言葉がぶつけられたら、私が再発しような時にあなたが使える言葉 ― 隠れた意味が満ち溢れたある言葉が ― 例えば "ベイジングストーク" ― その言葉は私を正気に戻してくれるの。 だから、結局は、私はただの狂女マーガレット！ 気のふれたメグ！ 哀れなメグ！ ヒー！ ヒー！ ヒー！
デスパ： 哀れな子だ、彼女はさまよっている！ でも静かに ― 誰かが来るぞ ― マーガレット ― どうか自分を思い起こすんだ ― ベイジングストーク、お願いだ！ マーガレット、もし君が直ぐにベイジングストークにならなかったのなら、僕は本当に怒ってしまうよ。
マーガレ：（彼女は正気に戻る） ベイジングストークにいるわ！
デスパ： じゃあ、そこにいなよ。
<< 教区訪問員 district visitor 各家を訪問する牧師の補助者。
大麦湯：大麦を煮だした薬用飲料。
ベイジングストークはロンドン南西方向にある特筆すべきものがない町。 >>
（ロビン登場。彼らを見始める）
ロビン： デスパード！ それに彼の若い奥方！ 思いもよらぬ訪問者です。
マーガレ：彼に跳びかかりましょうか？ 彼のあばら骨をひきちぎりましょうか？ 彼をバラバラにしましょうか？ 言ってそうすれば ―
デスパ： ベイジングストーク！
マーガレ：（突然おとなしくなり）ベイジングストークだわ！
デスパ： （傍白で） じゃあ、そこにいなよ。 （声に出して） 兄貴よ ― あなたを今でも兄と呼びます、あなたの非道な放蕩があったとしても ― 僕らが来たのはあなたにやめさせようと思ってです、兄貴が犯そうとしている邪悪な犯罪を、それでどんな手をつかっても純粋で非難されることのない地方税支払者になるようにと。
ロビン： でも私はまだ悪しきことはしていないぞ。
マーガレ：（狂ったようになり） 悪しきことはしていないですって！ 彼は悪しきことはしていないですって！ 聞いたでしょ！
デスパ： ベイジングストーク！
マーガレ：（正気に戻り） ベイジングストークだわ！
デスパ： 兄貴よ ― あなたを今でも兄と呼びます、兄貴は気づいてるでしょう ― 兄貴のかつての仕打ちを忘れたでしょう、法の目からしたら、 10 年に渡りラディゴア城の邪悪なる准男爵であったのです ― それは兄貴に責任があるのです ― 法の目でみたら ― あなたの地位に代った不幸なる紳士によるあらゆる悪行が。
ロビン： そうか！ 我が心を許せ、そんなことは考えもよらなかったぞ！ 私はひどく悪かったようだな？
デスパ： 非常に。 そうじゃなかったかね？ （マーガレットに）
ロビン： 何年間それを続けていたというのかね？
デスパ： 10 年間です！兄貴が犯して来た非道を考えて下さい ― その代理人によると ― その当時の。 思い出すでしょう兄貴がこの哀れな子供の気持ちをどのようにもてあそんだことかを ― 兄貴が彼女の希望を高くに持ち上げたかを （泣くんじゃない、愛する人 ― ベイジングストーク、ねえ）、
その気持ちが天頂で満ち満ちた時に地面に踏みつけたことを。 ああ、ひでえよ、閣下、ひでえよ ― 彼女はあんたを信じていたんだよ！
ロビン： 彼女が？ 私は何という悪党だったんだろう！ ほら、ほら ― 泣くんじゃない、ねえ君 （マーガレットに向かい、彼女はロビンの胸で泣いている）、もう大丈夫だよ。 バーミンガム、だよね ― バーミンガムだよ ―
マーガレ：（泣きながら） ベ、ベ、ベイジングストークよ！
ロビン： ベイジングストーク！ もちろんそれは ― ベイジングストークさ。
マーガレ： じゃあ、そこにいるわ。
ロビン： ほら、ほら ― 大丈夫さ ― 彼は今じゃ君と結婚しているよ ― つまり、私は君と結婚したのだ （デスパードに向き） ― つまり、彼女と結婚したのはどっちかな？
デスパ： ああ、僕が彼女と結婚しているんだ。
ロビン： （傍白で） ああ、良かった。 （マーガレットに向かい） そうさ、彼が君と結婚してるんだ （彼女をデスパードに手渡す）、それと私の行ってきた品行より更に不名誉なことは、私は耳にしたことすらなかったんだよ。 しかし我が心は決った ― 私はご先祖様たちを拒むことにする。私は彼らに従うようにとの命令を拒否しよう、それゆえ、死を招くことで、我が経歴の不名誉のいくらかの罪滅ぼしとなろう。
マーガレ：知っていたわ ― 知っていたわ ― 神の恵みを － （ヒステリックに）
デスパ： ベイジングストーク！
マーガレ：ベイジングストークだわ！ （回復する）
My eyes are fully open
パター三重唱 ： ロビン、デスパード、マーガレット
ロビン：僕はこのひどい状況に対して目をいっぱいに開いているのさ ―
すぐにでもロデリックの所に行って彼に演説しなきゃ。
彼に言うのは僕が忘れてしまった道徳観を取り戻したってこと、
そしてその結果がどうあろうとちっとも気にしないってこと。
さて僕は刀や短剣で非業の死はご免だけど、
でも殉教者というものはやや勿体ぶった恩赦状で満足できるものだし、
それに世辞の一つや二つで僕の虚栄心はくすぐられるのさ、
でも明日には死ぬんだから、だから本当にどうでもいい事なのさ！
デスパ： だから本当にどうでもいい事 ―
マーガレ： だから本当にどうでもいい事 ―
全員： だから本当にどうでも、どうでも、どうでも、どうでもいい事！
マーガレ：もし私がちっとも狂っていなくてそれに一般的な馬鹿でなければ
その命題に関して忠告できるわよ、手当たり次第だけど；
あっというまにその問題に取っ組む方法を見せるわ、
そしたらあんたは本当に私の提案力に驚くはずよ。
その命題にはとっても価値のある手紙をあんたに書いてあげる、
全てが傑出した提案だけど私の気分が多少よくなったらのことね、
でも今のところは私は帽子屋さんのように狂っていて
だから私は心に秘めておくわ、私の意見なんてどうでもいい事だから！
デスパ： 彼女の意見なんてどうでもいい事だから ―
ロビン： 彼女の意見なんてどうでもいい事だから ―
全員： 彼女の意見なんて本当にどうでも、どうでも、どうでも、どうでもいい事！
デスパ： もし僕が幸運な人間で頼りになる兄がいたのなら
僕らが今相手に話しているみたいにその人は僕に話してくれたのに ―
僕が間違いを犯したらその人はよき忠告をくれたのに
（僕があんたに授けている言葉はまさに大いなる恩恵なのさ）
わが存在はむしろ興味深き田園詩にもなったのに、 ¶
そして僕はとても上品な一個人として生きそして死を迎えたかも。
この特に高速な、知性に欠ける早口歌は
一般には聞けまい、それにそれがどうでもよい事だとしても！
ロビン： それがどうでもよい事だとしても ―
マーガレ： それがどうでもよい事だとしても ―
全員： それがどうでも、どうでも、どうでも、どうでもよい事だとしても！
（デスパードとマーガレット退場）
<< 別名 "It Really Doesn't Matter" または "Matter Patter Song" とも呼ばれる。ブロードウェイミュージカル版『ペンザンスの海賊』にも使われたＧ＆Ｓの代表的パターソング。
「目を一杯に開いている」 とは、「驚いている」様子を意味しているのか、あるいは「状況は把握できている」という状態を意味しているのかはっきり分からなかった。 >>
（アダム登場）
ダイアローグ
アダム：（罪深そうに） 殿さま ― ご命を果たしました！
ロビン： 何をしたのじゃ？
アダム： 彼女はここに ― 一人で、無防備の状態で ―
ロビン： 誰が？
アダム： 娘です。 彼女をさらってきました ― とてもきつい職務でした、彼女がトラネコのように争ったから！
ロビン： 何と言うこと、女のことを忘れておった！ 私は犯罪に汚されずに死を望んでいたのに、しかしまた出鼻をくじかれた ― それもトラネコによって！ 彼女を差し出しなさい ― それから二人だけにさせなさい！
（アダムはハンナ貴婦人を紹介する、とても興奮して、それから退場）
ロビン： ハンナ貴婦人！ これは ― これは私が予期していたことではありません。
ハンナ： さて、閣下、私をどうしようとするのですか？ おお、あなたは勇敢になったのね ― 本当に勇敢に！ 罪なき女性の平穏な高潔さに臆せず、あなたの家来が私のちりひとつない家から私につかみ掛かり、そして私を引きずりまわし、目隠しをして甲高い声で笑い、束縛しながら、塀を越して、そしてとても困難な田舎を横切って、それから私は置き去りにされ、無力で震えていて、あなたのご慈悲にすがりついている！ でも無力ではないのです、卑怯なる閣下、一歩ずつ近づこうとしている貴方 ― 駄目です、わずか一インチの12分の1でも近づこうものなら ― この懐剣が （かなり小型の短剣を出す） あなたに教えるでしょう、不浄なる手がスティーヴン・トラスティの娘に掛けられようとしたらどうなるかを！
ロビン： 御婦人、このことで私は非常に済まなく思っております。 これは私の意図したこととは全く異なりまして ― いくらか正確に記せば ― あなたには深い敬意を持っており、それはあなたへしようたこと以上のもので、誰であれ欲望を感じるということは ― 例え特別の方であろうと ― あり得ません。
ハンナ： ブー、私はそのような滑らかなる言葉に惑わされはせぬ、偽善者め！ しかし直ぐに分かるであろう、実際には、例外なく、不浄なる手をスティーヴン・トラスティの娘に掛けられようとした 100人もの高貴な心が信頼にたる刃によってあばら骨を引き裂かれた事実があることを！
ロビン： これこそ抑制なき歓喜の護送船に積み込むということですね！ ¶
（ハンナ貴婦人、片手の構えで鋭い短剣を構え、ロビンに襲いかかる）
ハンナ： 聞くのじゃ、不信心者、お前は私に危害を加えた、そして私はお前の哀れな捕虜； しかしお前がもし私が自身を守れぬと思っておるならお前は大きな間違いを犯しておる。 さあ、一対一だ、勝つのは強者だ！ （彼に向かい突進）
ロビン：（恐怖におののいて） やめなされ！ そのように私を見るでない！ 耐えられぬ！ ロデリック！ 叔父上！ 助けて下され！
（ロデリック登場、肖像画から。 彼は舞台に降り立つ）
ロデリ： どうしたのじゃ？ 彼女をさらったのか？
ロビン： しました ― 彼女はそこに ― 見て下さい ― 私を脅しております！
ロデリ： （ハンナを見て） 可愛いハンナちゃん！
ハンナ：（驚いて） ロディちゃん！
ロデリ： 我が古の恋人！ なんで、どうしてここに？
ハンナ： このケダモノ ― 彼が私をさらったのです！ 自身で！ 目に物言わせてやるわ！ （ロビンに襲いかかろうとする）
ロデリ： やめよ！ （ロビンに向かい） この女性をさらうとは一体どういうことなんだ？ お前はかつて彼女が私と結婚の約束を交わしたことを知っておろう？ 怒ったぞ ― 本当に怒ったぞ。
ロビン： ではこれはいい学習となったかと思います将来決して ―
ロデリ： 舌を動かすでない、お前。
ロビン： はい、叔父上。
ロデリ： 君は彼を刺激したのかね？
ハンナ：（ロビンに向かい） 私はあなたを刺激したかしら？ 正直いいえよ、したかしら？
ロビン：いいえ。 正直あなたはしておりません。 あなたの行状よりはいくらか厳密に言えば、欲望を感じることは不可能なことです。
ロデリ： 去るのじゃ。
ロビン： はい、叔父上。 （ロビン退場）
ロデリ： 幾年もの後の不思議な出会いである！
ハンナ： まったく。あなたはお亡くなりと思っていました。
ロデリ： その通り。 私は10年前に死んだのじゃ。
ハンナ： 気分は上々ですか？
ロデリ： 大いに上々 ― つまり ― そう、大いに上々である。
ハンナ： そんな酷いわ、しばしでもあなたを愛したのだから、あなた； それで私をひどく不幸にしたのはあなたの色んなやってきた事を耳にしたからよ、あなたは悪い、悪い子ね！
There grew a little flower
バラッド ： ハンナ貴婦人
小さな花が咲いていた
大きな樫の木の下に；
嵐が脅威となりはじめたとき
用心を怠ったは彼女：
彼女は縮こまる必要を感じず、
だって彼女は嵐の力に恐れを感じなかったから ―
彼女は閨房の中で幸せを感じた
彼女の大きな樫の木という閨房！
歌おうヘイ、
ああ悲しや！
涙が自然に落つるがままに
その可愛い小さな花に
そして大きな樫の木に！
二人： 歌おうヘイ、
ああ悲しや！ etc.
彼が気まぐれと彼女が気付いた時、
それはあの大きな樫の木、
彼女はとても困ったことに
まさに当然のごとく ―
しかし彼の気遣いはわずかばかり （★）
刈り鎌を持った死神が付いてまわり、
そして彼女の涙は滴りはじめた
彼女の大きな樫の木に！
歌おうヘイ、
ああ悲しや！
二人： 歌おうヘイ、
ああ悲しや！ etc.
彼女は言った、『彼は私を愛したことがない、
あの大きな樫の木よ、
でも私は金持ちでも利口でもない、
だからそれで彼がそんなことを？
でも私たちの幸を運ぶ運命の女神がどうあれ、
変わらず私は尽力しよう、
とわに、いつまでもいつまでも、
私の大きな樫の木を！』
歌おうヘイ、
ああ悲しや！
二人： 歌おうヘイ、
ああ悲しや！ etc.
（ロデリック卿の胸に泣き崩れる）
<< ★：ここで使われる mickle という言葉は本来「大量」という意味だが、ギルバートは「わずかに」という意味で使っている旨が G&S archive / glossary に記されている。 >>
（ロビン登場、興奮した様子、登場人物全員と花嫁付添娘のコーラスがそれに続く）
ダイアローグ
ロビン： 暫く ― お二人とも。
ロデリ： この割り込みは無作法であるぞ。
ハンナ： 驚かさないで。
ロビン： お許しを願わずにはいられません ― ある思い付きが今私の頭に。 ラディゴアの準男爵が死に至るのは彼の日課の犯罪の実行を拒否した時とのこと。
ロデリ： 疑いもなく。
ロビン： それならば、日課の犯罪の実行を拒否するということは自殺することと等価と考えられます！
ロデリ： そのように思える。
ロビン： しかし自殺は、それ自体が、犯罪の一種 ― だからそれゆえ、あなた自身が証明している如く、あなたは決して死ぬことが出来ないのです！
ロデリ： そうか ― 分かったぞ！ それなら私は実質的には生きておるのじゃな！
ロビン： 疑問の余地なく！ （ロデリック卿はハンナ婦人を抱きしめる） ローズ、君は僕が素朴な農夫だと信じていた時、君は僕を愛していたよね？
ローズ： 狂おしくも、情熱的に！
ロビン： でも僕が邪悪な准男爵になったら、君は当然のごとくリチャードを代わりに愛したよね？
ローズ： 狂おしくも、情熱的に！
ロビン： でももし僕が最終的に邪悪な准男爵でなくなったら、それなら君は僕を愛してくれるかい？
ローズ： 狂おしくも、情熱的に！
ロビン： 以前のように？
ローズ： ええ、もちろん！
ロビン： ダーリン！ （二人は抱きあう）
リチャード：おーい、命令だ、中止しろ！
ローズ： あら、閣下、中止しますわ、もし絶対必要なことなら！
ロビン： 中止？ もちろん断るさ！
<< 英国では自殺は 1961 年まで重犯罪とされていた。>>
Finale : When a man has been a naughty baronet
ローズ： 男の人がいけない准男爵だったなら、
それで深き悔悛と後悔を示したのなら、
あなたは彼を助けるべきよ、もし可能なら、
寓話のネズミのように、 ★
それが私のエチケット教則本の教えなの。
コーラス： それが彼女のエチケット教則本の教えなの。
リチャード： もしあんたが尋ねるんなら、俺がなぜ
まさに英国水兵のように正直に泣かないのかを、俺の返事は、
おれのかみさんになるゾラと一緒なら、
そこにはパンもチーズもキスもあるから、 ★★
それは支給品のようなもので俺はご満悦！
コーラス： それは支給品のようなものであんたはご満悦！
ロビン： 邪な准男爵であった一週間
再びささやかな生計を僕は求める。
農業に従事すること
それは僕には激しい悦び、
だって僕は生まれつき内気で従順！
デスパードとマーガレット：
激しい欲望に急かされ呼び起こすは
結婚のくびきという完全に祝福されし平穏、
我らは明日に向かい歩みはじめよう、
この罪と悲しみの場面より、
ベイジングストークの町に居を構えるため！
コーラス： 激しい欲望に急かされ呼び起こすは、 etc.
For happy the lily
全員： 幸福なる百合なるは、
蜂に口づけされし時；
しかしいずれよりも幸福なるは、
恋人なる、彼が
花嫁を抱きしめたとき！
<< 参考にした DVD では、フィナーレの歌は省かれていた。
★：イソップ寓話の、網にかかったライオンをネズミが助けるという話。
★★：ジョナサン・スウィフトが作ったフレイズで、独身者の生活スタイルのこと。 >>
幕
補足：
●訳はGilbert and Sullivan Archive にあった "Ruddigore" 台本を元にした。
●人名の読み方、背景、俳優のしぐさなどは、1982年BBC制作のTV番組 Ruddigore / Hammond-Stroud, Mills, Collins, Opera World (1982) (スタジオ撮影) のDVD を参考とした。
●用語等は、Gilbert and Sullivan Archive の Glossaries 及び The Gilbert & Sullivan Very Light Opera Company を参考にした。
●（）は主にト書き。カッコつきの歌詞は多分傍白の歌詞だろう。
●茶色字の≪≫内は訳者のコメントや用語解説。
●記号¶のついた行は、意味不明につき仮訳、訳に自信がない所。
2012/09/20 訳
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