Sweet and Low-Down 日本語訳

SWEET AND LOW-DOWN

(歌詞　表示/非表示切り替え）

[Verse]
There's a cabaret in this city
I can recommend to you;
Peps you up like electricity
When the band is blowing blue.
They play nothing classic, oh no! down there;
They crave nothing else but the low-down- there.
If you need a tonic,
And the need is chronic—
If you're in a crisis,
My advice is:

[Refrain]
Grab a cab and go down
To where the band is playing:
Where milk and honey flow down;
Where ev'ry one is saying,
"Blow that Sweet and Low-Down!"

Busy as a beaver,
You'll dance until you totter;
You're sure to get the fever
For nothing could be hotter—
Oh, that Sweet and Low-Down!

Philosopher or deacon,
You simply have to weaken,
Hear those shuffling feet—
You can't keep your seat—
Professor, start your beat!

Come along, get is it—
You'll love the syncopation!
The minute they begin it,
You're shouting to the nation:
"Blow that Sweet and Low-Down!"

[ヴァース]
この街にあるキャバレーで
僕は勧められる店があるんだ；
電気のように人をシビレさせるよ
楽団がブルーノートを吹き始めたときは。（※１）
彼らはクラシックなんかやらないよ、下卑たやつさ、
彼らが望むのは、堕落したものさ；
　　もし気付けが必要なら、　（※２）
　　それが慢性的に必要なものなら＿＿
　　君がとても欲しくてたまらないのなら、
　　僕のアドヴァイスは：

[リフレイン]
タクシーを捕まえて繰り出そうよ
その楽団が演奏している場所に；
楽しさがあふれ出る場所に；
みんながこう叫んでいる場所に；
　「甘くて堕落したのをやってくれ」（※３）

ビーヴァーのように忙しく、
みんなよろけるまでダンスをするのさ；
熱病にかかるはずさ、
だってこんなに熱いものはないんだから＿＿
　　ああ、あの甘くて堕落したものは

学者さんも教会の執事さんも、（※４）
皆さん圧倒させられるに違いないよ、
あのダンスのステップを聞いてごらん＿＿
椅子に座ってられなんかいられないよ＿＿
教授、足を踏み鳴らしはじめてごらんよ！

さあ、仲間に入るんだ＿＿
シンコペーションに夢中になること請け合いさ、
楽団がシンコペーションを始めた途端に、
みんな学生や信徒たちにこう叫ぶのさ；
　「甘くて堕落したのをやってくれ」

※１：原文　When the band is blowin' blue.

※２：「気付け」の原文は tonicで強壮剤、トニックウォーター、気付け薬などの意味があるが、酒のことを指しているのかもしれない。（禁酒法は1920年から施行されている）

※３：「甘くて堕落」の原文は、Sweet and Low-Down
　作詞のアイラによると、この言葉は"portmantuea"(かばん語）であるとのこと。
　
portmantuea ：かばん語。２語の音と意味を含ませて作った合成語。ブランチ(brunch), ムック(mook), スモッグ(smog)、モーテル(motel)等もかばん語の一種。
元来　portmantuea は両開きの大型旅行かばんのことであるが、２つ以上の用途（性質）を兼ねたという意味を持つことから混成語の意味に使われることが多い。ルイス･キャロルの鏡の国のアリスに出てくる "slithy" という言葉に端を発するとアイラは語る。（意味は lithe（しなやかで）で slimy（ねばねばした）という２つの意味）

語というより句なのだが、 Sweet and Low-Down の元となるのは次の二語、
①Sweet and Low ：「ほのかにしずかに」（テニソンの詩集に収められた詩）
　漁師の妻が月の出た夕暮れに海からの西風にここちよく吹かれながら、夫の無事を祈りつつ子守歌を唄って愛児を寝かす様を歌う。（詩としても子守歌としても知られている）

②Low-down ：名詞としては「事の真相、内幕」の意味を持つ口語であるが、形容詞的に「きわめて低い」「下劣な」「堕落した」という状態を指すのに使われる。

"Sweet and Low-down" というかばん語は、"Lady, Be Good!" で落とされた歌のあるフレーズだったが、惜しいと思ったアイラが、"Tip-Toes" でこの言葉を生かす詩を書き上げた次第。

※４：「教会の執事」の原文はdeaconで司祭の下の位の職。カソリックは助祭、プロテスタントは執事と言うようだ。

舞台 "Tip-Toes" は前年の "Lady, Be Good!" が成功したので二番煎じ的に作られたミュージカルで、この歌も "Lady, Be Good!" 挿入歌である、 "Fascinatin' Rhythm" や "Little Jazz Bird" と似た内容の歌。つまりジャズっぽい歌と言えるのではないか。（Little Jazz Bird 解説参照）

参考：　子守歌 Sweet and Low 原文

Sweet and Low

w. Alfred Lord Tennyson (1850), m. J. Barnby (1863)

1.Sweet and low, sweet and low,
Wind of the western sea;
Low, low, breathe and blow,
Wind of the western sea;

Over the rolling waters go,
Come from the dying moon and blow,
Blow him again to me
While my little one, while my pretty one sleeps.

2.Sleep and rest, sleep and rest,
Father will come to thee soon;
Rest, rest on mother's breast,
Father will come to thee soon;

Father will come to his babe in the nest,
Silver sails all out of the west,
Under the silver moon
Sleep, my little one, sleep, my pretty one, sleep.

作詞：アイラ･ガーシュイン Ira Gershwin
作曲：ジョージ･ガーシュイン George Gershwin
出典：舞台ミュージカル "Tip-Toes" (1925) より

CD, LP
● ジャッキー＆ロイ Jackie & Roy : Sweet and Low-Down (CBS)
● キングス・シンガーズ King's Singers : バートランドの子守歌
● リー・ワイリー Lee Wiley : ガーシュイン＆ポーター・ソング・ブック (Audiophile, Liberty)
● スザンナ・マコークル Susannah McCorkle : The Beginning 1975 (A-record)

2006/11/07 訳
2012/05/10 レイアウト変更等

　（ホームページ）　　

　（上位メニュー）