DOWN IN THE DEPTHS
(ON THE NINETIETH FLOOR)

[ヴァース]
マンハッタン．．．
私は木の上に追い詰められたみたい。
私がとてもあこがれている人と来たら
私なんかには
うんざりしている。
マンハッタン．．．
私はひどく立派な人間で、
上流階級の人と食事をする、
それも二度も。
それなのにこの世で私が一番夢中なひとは、
他のひとに話しかけ、
そして出ていく。

[リフレイン]
眼下には万百万ものネオンの虹が煌めき
何百万ものタクシーの光が唸り声をあげている、
私はここで座り込んで、街の上で、
お気に入りのスパンコールのドレスに身を包んで
９０階にあるアパートで打ちひしがれている。

「エル・モロッコ」の群衆たちはダンスフロアーを踏み散らしている　
「２１」にいるカップルは更に騒がしい、
私はというと見捨てられ、意気消沈し
荘厳な鷲（ワシ）の住む巣の中、
９０階にあるアパートで打ちひしがれている。

欲しいと思ったただ一人の人がほかの人を欲しいと思ったときに、
そんな時に派手な格好や、銀行にたっぷり現金があったからって何なの。
何故かしら、アパートの管理人の女房だって
とっても愛に満ちた生活をしているのに、
ここにいる私ときたら
明日になろうというときに、
悲しみで一人ぼっちでいる、
９０階にあるアパートで打ちひしがれている。


※　ミュージカル作品としてはヒットはしなかったものの、 It's De-Lovely, Ridin' Highなどのヒットを生んだブロードウェイミュージカル Red, Hot and Blue 中の曲。
元マニキュア師で今は大金持ちの未亡人（エセル・マーマン）が歌うトーチ・ソング。表面上は幸福に見えても、人には言えない孤独感を歌ったこの曲は、ジャズ・シンガーよりもクラブ・シンガー向きの素材だろう。 YouTube で検索したら、ジュリー・ウィルソンなどの歌唱を聞くことができた。
「９０階にあるアパート」と訳したが、アパートといっても大金持ちの住むアパートだろう。発表されたのが 1936年ということを考えると、当時の高層建築であるエムパイア・ステート・ビルディングを指しているのかもしれない。
「エル・モロッコ」は有名なナイト・クラブの名前であり、「２１」も同様だろう。


作詞・作曲・コール・ポーター Cole Porter
出典： ミュージカル "Red, Hot and Blue"(1936)でエセル・マーマンが歌った。

CD, LP
● キャシー・ヘイズ Cathy Hayes : イッツ・オール・ライト・ウィズ・ミー
● ヒュー・シャノン Hugh Shannon : Saloon Singer (Audiophile)
● ジョニー・ハートマン Johnny Hartman : ソング・フロム・ザ・ハート (Bethlehem), アンフォゲッタブル (Universal)
● メイベル・マーサー Mabel Mercer Sings Cole Porter
● モーガナ・キング Morgana King : For You, For Me Forever More (EmArcy)
● パティ・ペイジ Patti Page : East Side West Side (EmArcy)
● シルヴィア・シムズ Sylvia Syms Sings (Atlantic)

YouTube
■　ヘレン・カー

2008/12/10 訳
2012/07/10 レイアウト変更等

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