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Ｇ＆Ｓ訳一覧 |
ギルバート＆サリヴァンのオペラ「ゴンドリアーズ」 台本の訳（G&S 訳 10本目）
THE GONDOLIERS
or
THE KING OF BARATARIA - Act II
ゴンドラの船頭たち
あるいは
バラタリア国王 （第二幕）
台本： Ｗ．Ｓ．ギルバート W.S. Gilbert
作曲： アーサー・サリヴァン Arthur Sallivan
初演： ロンドン、サヴォイ劇場、1889/12/07
※： 登場人物、概要などは第一幕 を参照。
注： バラタリア国は南海の架空の王国。セルバンテスのドン・キホーテでは従者のサンチョ・パンサがこの島の太守となったことでこの名が現れる。
第二幕 あらすじ
３ヵ月後のバラタリア宮廷の館。共和制の信奉者だったマルコとジュゼッペは、ぶっきらぼうに王である自分たちをあつかうかつてのゴンドラ乗りだった臣下とともに宮殿の生活を楽しんでいるが、女性がいないと退屈だと思う。
彼らがその事実を告白するやいなや、農家の娘たちが駆け込んできた。彼女たちに率いられてきたのは二人の王の妻テッサとジアネッタだった。彼女たちは、自分たちの夫に王家の靴下を繕う人がいるのか、どちらが王妃になるかはまだ決まっていないのか知りたがっているが、まだ乳母が現れないので、それまでは祝宴を催すことにする。そこで全員でスペインの踊りを踊り楽しむ。
突然大審問官ドン・アルハンブラが現れ祝宴が終わる。大審問官は宮殿内で庶民が踊っていたことに驚き、二人の王に問いただすが、王たちはみな平等という精神のもとに彼らは貴族になったのだと言い張る。しかし大審問官は誰もが貴族という制度の問題を指摘する。その後、二人のうちいずれかの王は、すでに幼いころに結婚していたという事実を二人の妻に伝え彼女たちは悲嘆にくれる。
公爵一家が王のもとに訪れ、娘を王妃として迎えることを要求する。王妃カシルダは王となる夫の貞淑な妻でいることは出来るが、夫を愛せないだろうと言うと、公爵夫人は公爵をいかに愛するようになったかを歌う。だがあえて言えば夫を手なずけたと言った方が適切だろう。カシルダは自分の両親がいかがわしい人物であることで王家から拒絶されることを望んでいる。公爵夫妻は、人のために不幸な人を過去助けてき清廉な人間であると歌うが、彼らが詐欺師まがいのことをしてきた経緯ををさらすことになる。
その後公爵は自分たちへの歓迎が不十分だと不満を漏らすが、ゴンドラ漕ぎであった王たちには歓迎の仕方が分からないと答える。公爵は王には威厳が必要であり、自分を王の家臣として迎えれば王らしくあれると、上品な踊り方を教える。
大審問官が再び登場し、乳母のイネズを連れてきた旨を報告する。イネズに二人の王のうちどちらが本当の王なのかを問いだ出す。彼女は、昔王子の世話をしたときに子供を盗もうとする企てがあり、自分の小さな男の子を身代わりにし、本当の王子は自分の息子として育てたと告白する。
つまり公爵の従者だったルイズが本当の王である。カシルダは喜んで王妃となる。二人のゴンドラ乗りと妻たちは多少の失望もあるが喜んでこの結末を受け入れ、島に別れを告げ幕となる。
歌曲リスト
11. Of happiness the very pith
12. Rising early in the morning
13. Take a pair of sparkling eyes
14. Here we are at the risk of our lives
15. Dance a cachucha
16. There lived a king
17. In a contemplative fashion
18. With ducal pomp
19. On the day when I was wedded
20. To help unhappy commoners
21. I am a courtier grave and serious
22. Here is a case unprecedented
第二幕
場面： バラタリア宮廷内のパビリオン（館）。マルコとジュゼッペ、豪華な衣装、二つの玉座に腰かけて、王冠と王笏を磨くのに没頭している。ゴンドラ乗りたちがみられる、廷臣の衣装の者、高級官僚の衣装の者など、他には二等兵、様々な階級の従者など。みなそれぞれの社会階級に関係なく楽しんでいる － トランプをする者、サイコロを振る者、他にカップ＆ボールやモーラ（★）に興ずる者など。
★： カップ＆ボールは手先の器用さを競うゲームで、ボールを上に飛ばし、紐でくくりつけたカップでキャッチすることを目的とするけん玉のようなゲームだろう。
モーラはイタリア拳と言われる、一人が指を何本か広げて同時に広げられたあいての指の数に合わせようとする遊戯。
男たちのコーラス Of happiness the very pith
幸福の、まさに真髄
ご覧のとおりバラタリアにいることは：
王制はその緊張を和らげるは
共和制の平等による。
この形式の政府は我らが見つけし
この種の理想形 ・・・
厳格な専制主義、組み合わさるは
完全なる平等による！
マルコとジュゼッペ
二人の王、過度なプライドを捨て去り、完全なる一個人としてふるまう、
誰も命令できるは右と左を
絶対なる免責を持って。
臣民を安心させる彼は
彼らを喜ばせることに全力を尽くす！
それゆえに、彼らの糧を得るべく
あらゆる機会をつかむ。
コーラス 幸福の、まさに真髄
（ダイアローグ）
マルコ： 皆様、ご満足とご好意のお言葉をいただき、我らは誠に喜んでいる。 － 私は、我らは君たちの満足と好感の表明に大いに感謝しておる。
全員： 聞こえたよ。
マルコ： 我らは悦んでおる、いずれの時でも、これほど魅力的に表現された感情にひかれている。
全員： かまわないさ。
ジュゼッペ： それと同時に、ひとつだけ吐き出したい小さな不満がある。
全員： （怒り気味に） 何が？
ジュゼッペ： 心配しないで － 些細なことだから。私たちふたりのうちどちらが実際の王なのかが決まるまでは、ひとりの人間として行動するという取り決めになっている。
ジョルジョ： その通り。
ジュゼッペ： さて、我らはひとりの人間として行動するも、実際は、ふたりの人間である。
アニベイル： ああ、僕たちはそのようにできるとは思えないさ。 これは法的な仮想事実であり、法的な仮想事実は厳粛なものだ。 僕たちの立場では、ふたつの独立した責務を認めることはできないのだ。
ジュゼッペ： しかり、しかし君たちはふたつの独立した食欲は認めることはできるだろう。私たちがひとりの人間として行動すると言うのはとても良いことだが、私たちの間にたったひとつの配給しかないというのは、少し行き過ぎた法的仮想事実と言うべきだろう。
アニベイル： むしろいい指摘だ。いきなり意見を述べるのは僕は好きではない。法廷での議論のために保留するのはどうか？
マルコ： よかろう、しかしその間我らはどうしよう。
マルコとジュゼッペ： 我らはそれぞれお茶が欲しいのだ。
アニベイル： 不利な決定がなされた場合、両陛下が通常の補償を約束されるのであれば、２倍の配給を暫定的に命じてもよいのではないのでは？
ジョルジョ： それは、その状況に当てはまると思います。しかし、あなたたちは一生懸命に努力し － 粘り強く取り組む必要があります － 仕事に勝るものはありません
ジュゼッペ： しかり、国王という立派な地位にある者は、それを正当化するために何かをしなければならないことは、よく理解している。我らは『陛下』と呼ばれ、立派な服を買うことを許され、臣下は街頭で頻繁に私たちにうなずいてくれ、衛兵は常に敬礼を返してくれる。このような利点の見返りとして、私たちにできることは、宮殿で役に立つことくらいである。
ソング － ジュゼッペとコーラス Rising early in the morning
朝早く起きると、我らは消火活動に取り組む、
その後我ら敬愛する陛下が
仕事日の衣装をまとい
一刻の遅れもなく業務にとりかかる
その日の責務を果たすべく。
最初は、いくつかの仕事を素早く仕上げる
政治家の派遣や、
それに外国の政治家たちを一回り；
それから、仕事が忙しくなければ、
王室会議を開いたり、議会法を批准したりする。
それから、おそらく王室内軍隊を見直すだろう ・・・
いつも「シャルー・ハンプ！」「シャルー・フープ！」と叫ぶ、
あるいは、迎えるは儀式や国賓
興味深い東洋の君主。
その後我らは通常
私的な付き人に服を着せる ・・・
(かなり神経を使う仕事だ － 彼は短気な小男） ・・・
堅苦しい手紙を書く
我ら私設の秘書のために ・・・
彼はスペルが不安定なので、できる限り手助けをする。
それから、内部にある欲求に配慮し、
下に下がり夕食を注文する；
それから我らが磨くは王家の宝珠や戴冠式用の金属など ・・・
おめかしに小一時間ついやす
我らを待つ紳士たちのために；
あるいは国務大臣のための小用を足す。
ああ、哲学者たちが歌うは
王の悩み事；
しかし、その職務は楽しく、その特権は大きい；
しかし、特権と喜びは
計り知れないほどの宝物とするは
国務大臣のために小用を足すことだ。
コーラス ああ、ああ、哲学者たちが歌うは etc.
昼食会のあとは（陽気にふるまう
パンとシェリー酒のグラスで）、
我らは布告するかもしれう
あるいは代表団員を受け入れるやも
それから我らはひとりかふたりの貴族を命名するやも
そして仲間に道を作り上げる
ガーター勲章、あざみ勲章、バース勲章などで、（★）
あるいは、服を着て、半裸で出かけるは
お祭りや、葬式や催し物に。
それから行くは番兵として立つ
宮殿の（私的入場）で、
あっちへ行進、こっちへ行進、上へ下へ行ったり来たり、
その間当番の兵士が
ビールと美女を探しに行く
(そして大抵は、彼が遠くへ行くことはない)。
彼は可能なら、われわれを楽しませる、
まさにテーブルを並べる時に、
それからごちそうとコーヒーを供し、そして１２時半か１時になると、
喜びを強調しながらも、
屋根裏部屋に下がる、
我らの義務は果たしたという満足感を胸に！
ああ、哲学者たちが歌うは
王の悩み事；
しかし、喜びは多く、悩みはない；
そして至上の喜びは
計り知れないほどの宝物とするは
義務を果たしたという喜ばしい気持ちだ！
コーラス ああ、ああ、哲学者たちが歌うは etc.
（マルコとジュゼッペを残し全員退場）
★： ガーター勲章、あざみ勲章、バース勲章（the Garter or the Thistle or the Bath）： 英国騎士道の３大勲章で、それぞれ1348年、1687年、1725年に創設された。
（ダイアローグ）
ジュゼッペ： そう、本当に楽しい存在なんだ。彼らは皆、とても親切で思いやりがある。これがしたい、あれがしたい、『次は僕の番だ』なんて言わない。そうではなく、私たちを独り占めさせてくれるし、決して恨んでいるようには見えない。
マルコ： それは人をとても利己的な気分にさせてしまう。相手の善意につけこんでいるようにも思える
ジュゼッペ： 食料配給を２倍にするんなんてなんと親切なことか。
マルコ： とても思いやりがあるさ。ああ！ 僕らを徹底的に快適にしたいことがひとつだけある。
ジュゼッペ： それは何？
マルコ： ３ヵ月前に残していった僕らの可愛い妻たちさ。
ジュゼッペ： そう、女がいない世界なんてうんざりさ。他のものはすべてなくてもやっていけるが、それなしではやっていけない。
マルコ： もしそれが完全にあれば、僕らはすべてを手に入れたってものさ。完全な幸福のためのレシピはただひとつなんだ。
ソング － マルコ Take a pair of sparkling eyes
火花のように輝く瞳を見つめよう、神秘の、時折現れる、
慈悲深い日食の中で ・・・
その穏やかな驚きに耳を傾けてはならない。
ルビコン川を渡り、
バラ色の唇に触れよう；
精密に創られし肢体を抱こう ・・・
賞賛に値する刺激物のごとく ・・・
（特にこの体のなかに）；
柔らかく小さな手を握ろう、
可憐な指サックで縁取られた手を、
両手で握ろう － 括弧のように； ・・・
ああ！ すべてを手にしよう、幸運な男よ ・・・
手にして離さないこと、できることなら！
赤ちゃん用の小さなベッドを持とう ・・・
とても小さな愛の結晶
格子にはつる草の模様が、
ただちに備えよう
豊かで希少な宝物が飾られた
僕が求めてきたのはこれらのもの。
愛するために生き、生きるために愛する ・・・
君は自然と熟し、
陽のあたる場所で育つだろう。
運命が与えるものはこれ以上ない。
君は悦びにあふれた可憐な男だ
君が満足しないというのなら。
ああ、僕の助言を受け入れよ、幸運な男よ；
それに従うのだ、できることなら！
（農家の娘たちの集団が登場、走ってくる、フィアメッタとヴィットリアを先頭に。彼女たちは前ゴンドラ乗り達と会った者たち、彼らは心から彼女たちを迎える）
シェーナ（劇唱） － 娘たちのコーラス、四重唱、二重唱
Here we are at the risk of our lives
さあ来たわよ、命の危険をおかして、はるか遠くから、それで私たちはあなたたちの奥さんを連れてきたわ ・・・
そのために私たちは海を横断してきたの、
それでもう戻ることはないつもり！
フィアネッタ 従順さは強いというものの、
好奇心の方が強いもの
私たちは長い間待っていたわ、
もう待てなくなるくらいまで長く。
ヴィットリア 軽率なことだと、私たちは知っているわ、
でもあなたたちとの交際がなければ
生活はだるくって
それで私たちは変化が欲しくなったの ・・・
二人 生活はだるくって、それで私たちは変化が欲しくなったの。
全員 だからさあ来たわよ、命の危険をおかして、
はるか遠くから、それで私たちはあなたたちの奥さんを連れてきたわ ・・・
そのために私たちは海を横断してきたの、
それでもう戻ることはないつもり！
（ジアネッタとテッサ登場。二人はマルコとジュゼッペの腕に飛び込む）
ジュゼッペ テッサ！ （抱きしめる）
テッサ ジュゼッペ！ （抱きしめる）
ジアネッタ マルコ！ （抱きしめる）
マルコ ジアネッタ！ （抱きしめる）
テッサとジアネッタ
テッサ この島へと航って来た後に ・・・ジアネッタ 恐怖の気持ちを振り捨てて、
テッサ 私たちは再び乾いた大地にいる ・・・
ジアネッタ そう私たちはこの変化に喜びを感じ、
テッサ 家にいたときは私たちはずっと残ったまま ・・・
あなたたちと何年も会えなかった、
ジアネッタ 教えて、統治生活を楽しんでいるの？
食事はどうかしら、報酬はなにかしら？
テッサ あたらしい職務は楽しいの？
ジアネッタ 王制はあなたに衝撃を与えたの？
テッサ 難しいのそれとも簡単？ ・・・
ジアネッタ 家来たちはあなたたちを好いてくれる？
テッサ どんな答えなのか心配だわ、
単純で簡単に操作できるの？
ジアネッタ 全部ひっくるめて、それは
ゴンドラ乗りよりも好いこと？
二人 私たち二人とも要求しつづけるつもり
あなたたちが私たちに教えてくれるまで、はっきりと；
なにもかも興味津々、
教えて、すべてを教えて！
全員 彼女たち二人とも要求し続けるつもり、 etc.
テッサ 民衆の要求は厳しいの？
ジアネッタ 彼らはあなたたちを遠ざけているの？
テッサ 助力なしにあなたたちは遂行しているの？
ジアネッタ それとも助太刀を用意してくれている？
テッサ あなたが忙しいときは、あなたたちは
朝早く起きなければならないの？
ジアネッタ あなたがしてはいけないことをするときに
みんな当たり前の注意をしてくれる？
テッサ 乗馬の時はみな準備してくれる？
ジアネッタ ラッパや太鼓をいっぱい鳴らして？
テッサ 王家の商売人は助言をくれる？
ジアネット 臣下の制服は似合ってきた？
テッサ あなたの内なる人間性が
あらゆる良いことに糧を与えている？
ジアネッタ 夕食時にワインは与えられている、
桃に、シュガープラムやアイスは？
二人 私たち二人とも要求しつづけるつもり
あなたたちが私たちに教えてくれるまで、はっきりと；
なにもかも興味津々、
教えて、すべてを教えて！
全員 彼女たち二人とも要求し続けるつもり、 etc.
（ダイアローグ）
マルコ： これは本当にうれしい驚きだ！
テッサ： そう、あなたたちが嬉しくなると思ったの。ねえこんな気持ちだったの。あなたたちが去ってから、私たちはとてもぼんやりした感じでふさぎこんでいたの、そう日がたつにつれ、それに手紙も来ないし；それでついにジアネッタに言ったの、『もうこれ以上耐えられないわ、この二人の君主は靴下を繕ったり、ボタンを縫い付けたり、服のつぎ当てもしていな － 少なくとも、必要なかったと思いたいわ － 一緒に着替えを鞄につめて二人がどうしているか見に行かない』 そしたら彼女が『完了したわ』と言って、みんなも『完了したわ』と言ったの； それからジャコポ爺さんに船を貸してくれるように頼んだの、それで彼が『完了した』と言ったの； それで海を航ってきたの、それで、神様、完了したの； それでここに来たって次第 － それで － 話は完了！
ジアネッタ： それで今は － あなたたちどちらは王様なの？
テッサ： それで私たちどちらが王妃なの？
ジュゼッペ： それは乳母が現れるまでわからないんだ。でもそのことは気にしないで － 問題は僕らのハネムーンの開始をどう祝うかだ？ 紳士諸君、豪華な宴会をご用意させていただけませんか？
全員： そのつもりです！
ジュゼッペ： 有難う、それで、淑女方、踊りませんか？
テッサ： 宴会に踊り！ ああ、とっても楽しくなるわ！
コーラスと踊り Dance a cachucha
踊ろうカチューチャ、ファンダンゴ、ボレロ、 （★１）僕らが呑むはシェレス － マンサニリャ、モンテロ、 ・・・ （★２）
ワインが、大量に呑めば、強めるのは
激しいダンスの無分別な悦び！
愉快な、ピッター・ピッター・ピッター
それにクリッター・クリッター、クリッター、クリッター ・・・
クリッター、クリッター、クリッター
ピッター、ピッター、ピッター
パッター、パッター、パッター、パッター、僕らは踊る。
僕らが呑むは熟成したシェレス － マンサニリャ、モンテロ
ワインが、大量に呑めば、強めるのは
激しいダンスの無分別な悦び！
カチューチャのダンス・シーン
★１： カチューチャ Cachucha、ファンダンゴ Fandango、ボレロ Bolero ： いずれもスペインの三拍子の舞踏。★２： シェレス Xeres スペインの強めの白ワイン。マンサニリャ Manzanilla スペインのドライ・シェリー。モンテロ 廉価な強めのワイン、19世紀英国で人気があった。
（ダンスは大審問官ドン・アルハンブラの予期せぬ登場で中断される、彼は驚きの目で見つめる。マルコとジュゼッペは当惑した様子。他の人物は、太鼓手の少年を除き、大審問官に追い払われ逃げ去る）
（ダイアローグ）
大審問官： こんばんは。舞踏会ですか？
ジュゼッペ： いえいえ。ちょっとした仲間内の踊りで。それだけです。遅くに申し訳ない。
大審問官： でも馬丁が踊っていたが、それに下僕も！
マルコ： そうです。彼は貴族の下僕殿下です。
大審問官： それに、なんと、庶民の太鼓手の少年が！
ジュゼッペ： いえ違います！ 彼は貴族の太鼓少年殿下です。
大審問官： しかし確かに、使用人用広間は、ここの貴族たちの場所になっているのは確かなのですか？
ジュゼッペ： いや、違うのです！ 我々は使用人用広間を借りた。ここは王室の居室で、侍従長殿下の事務室で入手できるチケットでのみ入ることができるのです。
マルコ： 僕らは本当に自分たちが自分である場所が必要なんです。
大審問官： （困惑しながら） どうも私には会話の知的なプレッシャーに耐える力がないようですな。
ジュゼッペ： わかるでしょ、君主政体は共和主義を基本に再設計されたのですよ。
大審問官： 何ですって！
ジュゼッペ： 全ての部門の階級は平等であり、そして誰もが彼の部門の長であるのですよ。
大審問官： わかった。
マルコ： 怒ってますか。
大審問官： いや、そういうわけじゃない。私が期待していたことじゃないだけの話です。
ジュゼッペ： 残念に思います。
マルコ： 僕もそう思います。
ジュゼッペ： ところで、あなたが航海した後に何かあげてもいいですか？ マカロニ一皿とラスクなんかは？
大審問官： （没頭しながら） いや、いや － 結構です － 結構です。
ジュゼッペ： 石橋をたたいて渡るタイプですか？
大審問官： そう － 痛風でして。ご存じですか、どの宮廷にも遵守しなければならない区分があるのを。
ジュゼッペ： （困惑しながら） あるんですか？
大審問官： もちろん、その通り。たとえば、大法官が自分の料理人と馬跳びをするようなことはしないでしょう。
マルコ： だめなんですか？
大審問官： もちろんです！ というのも、大法官は偉大な威厳を持つ人物であり、いかなる場合であれ、身分の高い貴族以外から、２ペンス寄こせ、と言われるような立場に身を置いてはならないからです。例えば、大司教様は大法官様に、２ペンス寄こせと言えるかもしれませんが、あきらかに料理人には言わないでしょう。
ジュゼッペ： たとえ貴族の料理人殿下であっても？
大審問官： よき友よ、 それは侍従長の事務室では認められない階級です。いえいえ、それはできません。この実験が試みられた例を挙げましょう。
ソング － 大審問官、マルコとジュゼッペ There lived a king
大審問官 昔、王がいた、私が聞いたところによると、いにしえの奇跡を起こすことのできる時代、
頃は心が黄金の倍もの価値があり、
２０倍もの豊かであった。
上機嫌の征服者の尊顔が彼にはあり、
そして彼の心が見つけた所は
あらゆる罪を犯した人種と
破廉恥な男たちの所に。
彼がドイツのライン・ワインを呑んだとき
作用したは、彼を悲惨な思いにさせたこと
なにがしかの、祝宴や活発で荒々しいスポーツの時に、
トディ（香料入り発酵酒）を混ぜるべきだと。
マルコ＆ジュゼッペ トディが、トディを混ぜるべきだと。
大審問官 彼が願ったのはすべての人は彼同様に裕福であること
（そう、彼はとても裕福だった）
それで樹の頂点の貴族に
皆の階級をあげた。
マルコ＆ジュゼッペ じゃあ、わが目指す王こそ彼だ。
彼が願ったのはすべての人は彼同様に裕福であること、
それで樹の頂点の貴族に
皆の階級を上げた。
大審問官 国王秘書官殿下は雑魚のごとく安っぽくなり
ショベル帽子をかぶった大司教様は
ぶちネコのようにありふれ ・・・
事実の所、過多に。
外交官大使は干し草を刈り取るがごとく
首相や諸々の者たちは
五月のアスパラガスのごとく生育し
公爵は三文の値打ちに。
あらゆる場所で軍司令官が輝いていた、
些細なことは中尉とみなされた、
大海原には海軍提督たちが
広大な領海にあふてていた。
マルコ＆ジュゼッペ 広大な領海に海軍提督たちがいた。
大法官 君たちも会ったことがあろう政党党首たちは
街の通りごとに２、３人は存在し
主張し続けている、少なからぬ熱意でもって、
彼らの様々な主張を。
マルコ＆ジュゼッペ じゃあそれは他にはない光景だ ・・・
二人の党首がどの通りにもいて
主張し続けている、少なからぬ熱意でもって、
彼らの様々な主張を。
大審問官 王は、だれも否定できないことだが
彼のハートは異常なまでに寛大で、
それでも彼の行動は他とは違っただろう
もし彼がとがった人間なら。
結果は容易に予測できたこと、
もし君の祝福されし持ち物が
銀とか金で出来ていたら、
君は通常のピュータに憧れるだろう。
もし君に着るものがなかったら
ただあるのは金の刺繍のものや珍しいサテンの服だけなら、
君は金の服には興味がうすれ ・・・
安物の服の値段は上がるようになるもの。
マルコ＆ジュゼッペ 安物の服が、安物の服の値段があがるようになるもの。
大審問官 簡単に言えば、君が誰であろうと、
この結論には同意するであろう、
だれもが重要人物になったのなら、
大物というものは存在しなくなるもの！
マルコ＆ジュゼッペ それはとても明白な事実、
この結論に僕らは同意する ・・・
全員 だれもが重要人物になったのなら、
大物というものは存在しなくなるもの！
（ジアネッタとテッサが誰にも気づかれず登場。二人の娘、興味をかきたてられ舞台の後方で聞き続ける）
（ダイアローグ）
大審問官： さてここに知らすべき重大な知らせがある。プラザ・トロ公爵殿下、並びに公爵夫人、そして二人の美しい令嬢カシルダ － その美しい令嬢カシルダが －
ジュゼッペ： 聞こえてますよ。
大審問官： 一行がバラタリアに到着しました。そして直ぐにでもここに来られます。
マルコ： 公爵も公爵夫人も僕らには関係のないこと。
大審問官： しかし令嬢は － 美しき令嬢は！ ああ！ おお、あなたたちのいずれかは幸運な犬である！
ジュゼッペ： あなたはとても不可思議な老紳士のようですね。
大審問官： いや微塵も － 説明しましょう。何年も以前のことあなたは（いずれか）赤子であった、あなたは（いずれかの）幼き少女と結婚したのです、彼女はスペイン中で一番の美しい女性となって。その美しく若い女性があなたに（いずれかの）主張するため半時間以内にここに来るのです、そして私はあなたに（いずれかの）心からのお祝いを申し上げます。
マルコ： 赤ん坊の時に結婚したと！
ジュゼッペ： でも僕らは３ヵ月前に結婚したのに！
大審問官： あなたたちのいずれかが － 一人だけが。他の一人は（いずれかの）意図せぬ重婚者です。
ジアネッタ＆テッサ： （前方に進み出て）まあ、誓ってなの？
大審問官： なに？ この若い人たちは何者ですか？
テッサ： 私たちが何者かって？ もちろん、彼らの妻です、当然。私たちは今着いたところ。
大審問官： 彼らの妻と！ ああ君、とても不運なこと！ 君、これは何とも込み入ったことだ！ なんと、なんと女王陛下はなんと言われましょう？
ジアネッタ： あなたの言いたいのは、あのうちの一人の君主が既婚者だということ？
テッサ： それで私たちのどちらも王妃ではないということ？
大審問官： その観念は私が伝達しようと意図したところ。（テッサとジアネッタ泣き始める）
ジュゼッペ： (テッサに）テッサ、可愛い人、可愛い娘 ・・・
テッサ： 出てって！ 多分あなたなのね！
マルコ： (ジアネッタに） 可哀そうな、可哀そうな女の子！
ジアネッタ： やめて！ あなたが誰の夫なのかわかるというの？
テッサ： 教えて、なぜ私たちにこのことを言ってくれなかったの、ベニスを出る前に？
大審問官： なぜならば、もし言っていたら、この世のいかなる誘惑も、この紳士たちが、これほどまでに魅力的でまったく抗えない二人の淑女を捨て去るなどということはあり得なかったからなのだ。
テッサ： 他にも何かありそう。
大審問官： 王室の子供を育てた老婦人が現在拷問室で私の尋問を待っているので、あなたが長く不安にさせられることはないだろうと申し上げておきます。
ジュゼッペ： 可哀そうな老婦人だこと。彼女の所へ行って彼女の不安を取り除いてあげた方がいいだろうに？
大審問官： いやいや － 急ぐことはないのだ － 彼女は大丈夫だ。彼女はあらゆる証拠書類を持っておる。しかしながら、私は彼女に尋問する予定だ、それまでは、あなた方は自分たちを独身の若い女性として見なされることは絶対に適切であるということを私は提案させてください。ごきげんよう！ （大審問官退場）
ジアネッタ： まあ、楽しい状況だこと！
マルコ： うれしいことだ。僕らのいずれか一方は二人の若い女性と結婚した、それがどちらかは誰にも分からない； それでもう片方は一人の若い女性と結婚している、誰にも言えないが！
ジアネッタ： それで私たちのうち一方はあなたたちの一方と結婚し、片方は誰とも結婚してないってこと。
テッサ： でもあなたたちのどちらかが私たちの一方と結婚したのかしら、それでどっちが片方になるというの？ （泣きそうになる）
ジュゼッペ： 簡単なことさ。 よく見て。 二人の夫が三人の妻をめとることができた。三人の妻 － 二人の夫と。（計算してみる）三分の二人の夫が各妻にとなる。
テッサ： ああ、ヴェスヴィオ山よ、私たちは算数の世界にいるのです！ 何と旦那様、人は下品な分数と結婚することはできませんよ！
ジュゼッペ： 僕を下品な分数と呼ぶなんて権利はないはず。
マルコ： 何か混乱してきたぞ。状況はもつれっ話だ。どうか櫛でほぐしてみようじゃないか。
四重唱 － マルコ、ジュゼッペ、ジアネッタ、テッサ In a contemplative fashion
秩序立てて考え抜いて、穏やかな心構えで、
あらゆる情熱を捨てて、
何らかの解決策を見つけよう。
状況を把握し、
複雑な筋立てを解こう ・・・
静かで、落ち着いた熟考が
あらゆるもつれを解こう。
テッサ
私は、疑いもなく、ジュゼッペと結婚した ・・・
それは、勿論、幸運のたまもの、
彼はどちらかというとぼんくらさん、
でも確かに彼は可愛い。
私は、疑いもなく、ジュゼッペと結婚した ・・・
それは、勿論、幸運のたまもの、
彼はどちらかというとぼんくらさん、
でも確かに彼は可愛い。
他の三人
秩序立てて考え抜いて、
穏やかな心構えで、 etc.
秩序立てて考え抜いて、
穏やかな心構えで、 etc.
ジアネッタ
私も、キューピッドの犠牲者、
マルコと結婚した － それは明らか、
彼はとてもお馬鹿さん、
でも確かに彼は愛おしい。
私も、キューピッドの犠牲者、
マルコと結婚した － それは明らか、
彼はとてもお馬鹿さん、
でも確かに彼は愛おしい。
他の三人
状況を把握し、
複雑な筋立てを解こう ・・・ etc.
状況を把握し、
複雑な筋立てを解こう ・・・ etc.
マルコ
ジアネッタと連れ合いとなった
直ぐにでも証明できる、
彼女の魅力は過大評価としても、
でも彼女は素敵だと思っている。
ジアネッタと連れ合いとなった
直ぐにでも証明できる、
彼女の魅力は過大評価としても、
でも彼女は素敵だと思っている。
他の三人
秩序立てて考え抜いて、
穏やかな心構えで、 etc.
秩序立てて考え抜いて、
穏やかな心構えで、 etc.
ジュゼッペ
僕はテッサに、否応なしに、
瞬く間に犠牲者に落ちた、
彼女はおめでたい人、
でも彼女の応えはとても好いもの。
僕はテッサに、否応なしに、
瞬く間に犠牲者に落ちた、
彼女はおめでたい人、
でも彼女の応えはとても好いもの。
他の三人
状況を把握し、
複雑な筋立てを解こう ・・・ etc.
状況を把握し、
複雑な筋立てを解こう ・・・ etc.
マルコ さて僕らが可愛い赤んぼだったころ
だれかが僕らを結婚させた、それは明らかなこと ・・・
ジアネッタ もしその時彼女を知っていたら
私は彼女をつねって掻きむしり
それから彼女の耳に蚤を入れて追い出したでしょう。
ジュゼッペ 若い淑女と結婚したその彼は
受け入れることを拒否できない。
テッサ もし私が彼女に追いついたら
私は彼女に警告するわ
彼女の上品な靴を振り回すと
ジアネッタ（テッサに） もし彼女があなたのジュゼッペと結婚していたら
あなたと彼は分かれなければ ・・・
テッサ（ジアネッタに） もし私がそうしなければならなくなったら
私は彼女に後悔するでしょうと警告するわ
彼女に教えるわ、私の心の男と結婚するなんて！
テッサ（ジアネッタに） もし彼女がマルコさんと結婚していたら
あなたは行かず後家に、それは明確 ・・・
ジアネッタ（テッサに） 関係ないわよ － 関係ないわ。
もし彼女に会ったのなら
彼女のお母さんがもう見分けられなくなるわ！
全員 静かで、落ち着いた熟考が
あらゆるもつれを解こう。
（思案しながら退場）
（行進曲。家臣の行列が入場し、公爵、公爵夫人、カシルダの到着を告げる。三人ともに豪華な衣装の姿）
男性コーラス、公爵、公爵夫人 With ducal pomp
公爵たる荘厳さと公爵たる誇りをもって（告げるはこれら来訪者
汝、ティンパニ手たちよ）
バラタリアの高貴な花嫁がやってくる
(汝、鳴り響けシンバルよ！)
彼女は王家の手を求めに来る ・・・
（彼らの栄誉を宣言せよ、
コントラバスよ！）
この良き地を治める王の
（汝、金管楽器が鳴り響かせよ！）
公爵と公爵夫人 この礼節を持った配慮が触れるは
公爵の心に、そして公爵夫人の心に
彼らはその不機嫌を放棄する
深淵な遺憾をもって。
美の典型たる彼女
よちよち歩きだった小さき頃、
そして２１歳の今
誰も彼女に勝るものなし！
コーラス 公爵たる荘厳さと公爵たる誇りをもって etc.
（ダイアローグ）
公爵： （付き添いたちに） 国王陛下にお伝え下され、プラザ・トロ公爵殿下、株式会社が到着したとお伝えを、そして請うは、
カシルダ： 要望する ・・・
公爵夫人： 要求する ・・・
公爵： 要求するは聴き入れんこと。 （付き添いたち退場する） さてここに、我が子が、夫を受け入れる準備ができたことを、貴殿とは興味ありロマンティックな状況下で別れた。
カシルダ： でもどちらが？ 彼らは二人いるわ！
公爵： 確かに現在は陛下は二重の紳士が担っておる； しかしながら彼の結婚の状況が判明次第、イプソ・ファクト（ラテン：事実上）、ひとりの紳士に煮詰められる － これこそ、一つの手術によって独身男性と既婚男性になったユニークな例と言えよう。
公爵夫人： （厳しく）私は同一人物に両方の症状が同時に存在する例を知っている。
公爵： ああ、その人物はプラザ・トロではないだろう。
公爵夫人： おお！ 彼でなかったかも、とは言え！
カシルダ： まあ、何が起きようと、私は、もちろん、貞淑な妻となるつもり、でも私は夫を愛せないでしょう。
公爵： わかるものか。どんなに魅力のない人でも愛することができるというのは驚くべきことだ、その気になれば。
公爵夫人： 私はあなたの父を愛したのよ。
公爵： 愛おしい人よ － その感想は多少難しそうではないか？ いくぶん冷酷かも？ 多少無理があると思うのだが、あえて信じてよいのかな？
公爵夫人： とても難しい問題ね、あなた； でも自分に言い聞かせたの； 『あの人は公爵、それで私は彼を愛するでしょう』 何人かの私の親せきは私にはできないと賭けたの、でもできたのよ － やけになって！
ソング － 公爵夫人 On the day when I was wedded
私が結婚式を挙げた日あなたの尊敬すべき陛下が、
認めます、彼を恐れたことを
彼の怒りの爆発を。
私はパニックに襲われた ・・・
彼の短気は火山のごとく、
そして私はあえて反抗せず、
だって彼の雷を恐れたから。
私はいつもとても慎重でいた、
だって彼の激怒は恍惚状態だったから ・・・
彼の洗練された語彙
強大なる強調した語気に。
雷に対し
韃靼人（気性が激しい人）に対し
私は倒れた
まるで殉教者のごとく；
夢中になって
彼がいらだったとき、
私は優雅に
控えめにしていた ・・・
ののしりを
完全に私に向けたときは、
私は微笑んだ
とてもやさしく：
彼には最善を与え、代わりに最悪を受ける ・・・
それがあなたの偉大なる創始者を手なずけるべく努めたこと － 最初は！
でも分かったのは頼みの綱となるのは
私の危なっかしい表情、
そして断固たる反抗の態度で
結婚生活に不自由を生じること、
そして優しい暗示で
私の確固たる決心を示し
私のできることを分からせるは
妻となり夫ともなるべく
それはただ一つ求められることだった
彼のかんしゃくをなだめるのは、
そう望めないでしょう、
これ以上に互恵的なカップルを。
いつでも
求愛し合い、
私たちは愛撫し ・・・
甘え合っていた。
私がわずかの間
彼と別れたばかりのとき、
私たちはほとんど
心が傷ついた ・・・
その後に
再会したとき、
私たちは同じように
喜びあった。
そうして、二連発の銃と、マストに釘付けにされた色彩旗とともに （★）
私はあなたの取るにたらない創始者を手なずけたのです － 最後には！
★ 船の旗はカラー（colour) と呼ばれ、下におろすと降伏の意志を示した。戦闘の際、マストにカラーを釘付けにすることは、何ものにも降伏させられないことを意味する。
（ダイアローグ）
カシルダ： ただ一つの望みは私の夫が陰多き家族と結婚してしまい、彼がすべての契約を破棄して離婚をすることだわ。
公爵： 陰多い？ 不慣れなポケットマネーの光沢に燃えている、陰多き怪しげな貴族だと？ ９５回ものクオータリングを振り返ることのできる怪しげな貴族がいるものか？ ９５四半期も滞納している貴族はそう多くない － つまり私が言いたいのは、誰が９５％を取り戻すことができるというのだ！ そしてこれは、私がプレミア価格で上場したのと同じ数である！ なんと！ （★１）
公爵夫人： 女王陛下はきっと女王陛下のお父上が直接公衆の前に現れ、何度も何度も申請されたことをご存じないのでしょう。
公爵： ねえお前、女王陛下の父は何度も何度も申請する悪癖があった － それにとても早急に申請することも － 有限責任法に基づいて登録されるずっと以前から。（★２）
★１： クォーターリングとは、紋章を4分の1に分割することで、結婚によって2つの貴族が結ばれたことを示す。
★２： 1855 年の有限責任法は、英国で初めて企業の有限責任を認め、会社が破綻した場合に株主に一定の負債免除を与えました。
このダイアローグは公爵に借金癖があったことを示しているのだろう。
レチタティーヴ － 公爵 To help unhappy commoners
不幸な平民を助け、彼らの楽しみを増やす；高貴な身分の人間に快適な仕事を与える；
われわれの試みを実証となる例を示そう：
仕事は軽く、しかも、加えるに、最も報酬の高いものである。
二重唱 － 公爵と公爵夫人
公爵 低い称号に階級行政長官や登記官などに （★１）
私は知己となり － そして彼らは大いに喜ばれたり ・・・
公爵夫人 彼らは大いに喜ばれたり！
公爵 男爵位を与えられた国会議員たち
官報に乗せられたいんちき大佐たち
騎士を与えられた二級議員たち ・・・
公爵夫人 そう、騎士を与えられた議員たち
公爵 基礎石を敷くこと
私はとてもやりがいがあると感じた：
更に私は膨大な金額に増やした ・・・
公爵夫人 彼は膨大な金額に増やした。
公爵 慈善晩餐会に於いて
最良のスピーチの紡ぎ手、
我が報酬は寄付金の１０％ ・・・
公爵夫人 寄付金の十分の一を。
公爵夫人 私が披露したいかなる女性も
ふるまいはいかがわしく
あるいは疑わしい礼節さを匂わせている ・・・
公爵 疑わしい礼節さが。
公爵夫人 美徳の神が彼女を打ち砕こうとしたら、
私は彼女を捕まえて水おしろいでごまかす、
そして彼女を上流社会へと飛び立たせる ・・・
公爵 上流社会へと！
公爵夫人 私が推薦したのは数多くの
不器用な服の仕立て屋といったら
そのフィット感と仕上がりの感触 ・・・
公爵 その仕上がりの感触
公爵夫人 その追加料金は
彼らは許可を得るために支払う
公爵夫人のために作ったと言うために ・・・
公爵 彼らは公爵夫人のために作った！
公爵 その迫り来る勝者たち、
既製服の仕立て屋、
私に見積もるは偉大な２砲身の銃だと ・・・ （★２）
公爵夫人 彼らの偉大な２砲身の銃だと ・・・
公爵 私は彼らにそうするよう許可する
たとえロビンソン・クルーソーが
彼らが着ている衣装にたじろいだとしても ・・・
公爵夫人 そのような着ている衣装に！
公爵 私は座り、選択する、
傾向の有無を
いくつかのはじけそうな投機的な企業を ・・・
公爵夫人 あらゆるはじけそうな投機的な企業を！
公爵 それらが上場するやいなや
私は自由に紙幣に交換する・・・
私は破産を避けて大金を手にする
公爵夫人 彼は破産を避けて大金を！
公爵夫人 中流階級のパーティーで
私はエカルテを （★３）
私は初心者なんかじゃないから ・・・・
公爵（意味ありげに） 彼女は初心者なんかじゃない。
公爵夫人 私の順位のひとつとして
その報酬は
５ギニーと夕食が ・・・ （★３）
公爵 夕食にはワインがつく
公爵夫人 私は露骨な手紙を書く
薬の特許事務所に ・・・
他のものを使ってはいけません ・・・
公爵 信じなさい、他のものを使ってはだめ
公爵夫人 それで誓ったのは私の顔色が
完璧なものになった
他社の石鹸は － 駄目だった ・・・
公爵（意味ありげに） 本当に駄目だった！
公爵 私たちは証人として準備ができている
どんな人にも適応した
どんな場所でも、どんな地位をも満たすべく ・・・
公爵夫人 場所も、地位も
公爵夫人 私たちはしばしば待機している
宴会場や祝賀会場で、
時には葬式の埋葬場で ・・・
公爵 私たちは埋葬を楽しんでいる
二人 簡潔に言えば、もし君が火を着けたければ
詐欺師のひらめきという焚き木に
お馬鹿を誘惑して君の手に ・・・
そうさ： 君の手に
または債務者の目をくらますなんて、
これ以上はできまい
公爵夫人 公爵と夫人が披露した以上のことは
公爵 公爵と夫人！
公爵夫婦のデュエットは、意味不明のスタンザもあるが、二人がともにいかがわしい詐欺師であることをほのめかしている。
★１： 登記官 Recorder は法律家で時に下級裁判所判事をすることもあった。
★２： ２砲身の銃 Double-barrel は意味不明だが、G&Aアーカイヴには、「ある人によっては偉大な苗字」を示しているらしい。
★３： エカルテ Écarté は１９世紀にパリやロンドンで人気のあったカード・ゲーム。５ギニーは現在の価格では500ポンドに相当するという。
（マルコとジュゼッペ登場）
（ダイアローグ）
公爵： ああ！ 陛下殿たちだ。陛下！ （もったいぶったお辞儀）
マルコ： プラザ・トロ公爵とお見受けするが？
公爵： 御意。（マルコとジュゼッペ、握手の手を差し伸べる。公爵儀式ばってお辞儀する。彼らは真似ようとする） ご紹介の儀を．．．
ジュゼッペ： 僕らのいずれかが婚姻したという若き女性か？
（マルコとジュゼッペ、握手の手を彼女に差し伸べる。カシルダ膝を曲げ公式のお辞儀をする。彼らは彼女を真似ようとする。）
カシルダ： 紳士達どの、私はあなた方のいずれかの最も忠実なしもべです。（小声で）ああ、ルイズ。
公爵： 私は今ここに我が娘と結婚した紳士にお話かけようとしています； もう一方は、私がこれから話すことは関係ないので、好きなように注意を散らしても構わない。サー、この若い女性の中に、私の娘であるという幸運に恵まれなかった若い女性には見つけられなかった、優れた点を兼ね備えていることがおわかりになるでしょう。皆さんのうちの誰が私が話しかけている紳士なのか、そして誰が注意をそらしている紳士なのか、少し疑問があります。しかし、その疑問が解けたとき、私は（今だなお気配りのある紳士に話しかけながら）こう言うつもりです、『彼女の手を取って下さい。そうすれば、彼女の母親が私を幸せにしてくれた以上に、彼女があなたを幸せにしてくれますように。』
公爵夫人： サー！
公爵： 出来ることなら。さて、ここで私が異議を唱える権利があると思うちょっとした問題があります。私は公爵夫人と娘の王妃陛下とともにここに来ましたが、何を見たでしょうか？ 私が見たのは、私を護衛する栄誉の衛兵？ いいえ！
マルコ＆ジュゼッぺ： いいえ！
公爵： 街の灯火？ いいえ！
マルコ＆ジュゼッぺ： いいえ！
公爵： 軽食の用意？ いいえ！
マルコ＆ジュゼッぺ： いいえ！
公爵： 王室の敬礼号砲？ いいえ！
マルコ＆ジュゼッぺ： いいえ！
公爵： 凱旋の門の建設？ いいえ！
マルコ＆ジュゼッぺ： いいえ！
公爵： 鐘が鳴らされた？
マルコ＆ジュゼッぺ： いいえ。
公爵： はいありました － ひとつだけ － 訪問者の、それで私は自分で鐘を鳴らしたのです。 十分とは言えますまい！ 十分とは言えますまい！
ジュゼッペ： 我が名誉において、とてもすまないと思う： しかしお分かりですか、僕はゴンドラのなかで育てられたので、限りある礼儀というと乗客が心づけをくれたとき帽子を外すことくらいなのです。
公爵夫人： それはそれでいいことでしょう、でも十分ではないのです。
ジュゼッペ： 理由があれば他の何でも外しますよ。
公爵： しかし王家の歓迎式を我が娘にくらいは － 金額はほとんどかからないのでは。
カシルダ： パパ、私は歓迎式なんていらないわ。
ジュゼッペ： サー、僕らのどちらかがそれを自由にできる権利が分かり次第、彼女は好きなだけ歓迎式をできるようになるでしょう。
マルコ： 栄誉の護衛や凱旋門に関しては、あなたは我が国民を知らないのです － 彼らはやらないでしょうから。
ジュゼッペ： 彼らは僕らにはとても無作法なのです － 本当に無作法なのです。
公爵： おお、しかし貴方はそれを許すべきではないですぞ － 貴方は彼らを規律正しく保つべきです、貴方は宮廷の重要さを印象づけるべきです。貴方には品行が必要です － 身のこなし（キャリッジ）が －
ジュゼッペ： 僕らには馬車（キャリッジ）があります。
公爵： マナー － 威厳 の意味です。この種のことはたくさんあるに違いない － （儲けだ） － この種のことを少しばかり － （儲けだ） － そしておそらく、ほんのひとさじのこの種のこと － （儲けだ） － その他もろもろ。おお、これはとても役にたちとても効果的なこと。ただ私の言葉を傾聴すれば。あなたは王 － 私めは家臣。とてもよき・・・
ガボット － 公爵、公爵夫人、カシルダ、マルコ、ジュゼッペ
I am a courtier grave and serious
公爵 私は重々しく真面目な廷臣で貴殿の手にキスをしようとしている：
試すのは威厳のある姿勢に
高貴で温和なふるまいの組み合わせだ。
マルコ＆ジュゼッペ 僕らも威厳ある姿勢に
高貴で温和なふるまいの組み合わせを試そう。
（マルコとジュゼッペは彼の指導に従おうとする）
公爵 そうです、しいて言えば、もっと強く真っすぐに ・・・
もっと攻撃的に堅く堂々と；
（彼らは急いでものごしを正す）
逆に極端になりすぎです ・・・
そんなにひどく偉ぶらないように！
公爵夫人＆カシルダ 逆に極端になりすぎです ・・・
そんなにひどく偉ぶらないように！
マルコ＆ジュゼッペ ああ、高貴な人を満足させるのは難しいことだ！
最初は、しいて言えば、もっと強く真っすぐに；
そしたら極端になりすぎ
とてもまごつくくらいに偉ぶってしまう！
公爵 さてガボットの踊りは落ち着いて
貴殿の手を誇り高い気合で差し出して、
威厳を強く押し出さないで
しかし十分に威厳をもって。
（マルコとジュゼッペは彼の指導に従おうとする）
公爵（手拍子を加えて） いーち、にー ・・・ いーち、にー
歩み出す前に腰をかがめて （彼らは従う）
二人とも見事、見事 ・・・ 彼らはうまく習得した！
それこそ精確なスタイルというもの！
マルコ＆ジュゼッペ おお、高貴な人の賛美を受けるとは素晴らしきこと！
二人とも見事、見事 ・・・ 僕らはうまく習得した！
彼の言ったことが正しいとしたら、
それこそ精確なスタイルというもの！
（ガボットが終わると公爵、公爵夫人は退場、カシルダ、マルコ、ジュゼッペは残る）
★ ガボット Gavotte 17世紀に流行した4/4拍子の活発で優美なフランスの舞踏、舞曲
（ダイアローグ）
ジュゼッペ： （マルコに）老いた鳥たちは去っていき、若いヒヨコたちだけを残していった。それを機転と言うのだろう。
マルコ： ひどく厄介なことだ。僕らは彼女にどうしてこのようになった状況を伝えなけらばならない。少女には公平なことじゃないだろう。
ジュゼッペ： だったら君が言ったらどうだい？
マルコ： むしろ僕には向かないね － 君が言えば？
ジュゼッペ： どう始めていいのだろう。（カシルダに）マダム － 僕は － 僕らは、つまり僕らのいくつかは ・・・
カシルダ： 紳士たち殿、私は聞こうとしています； しかし言わなければならないのは、私は幼児期に結婚したのは知らずにしたこと、私は首までどっぷりと他の男性に恋しています。
ジュゼッペ： 僕らと同じだ！ 僕らは首までどっぷりと他の人に恋しています。（ジアネッタとテッサ登場）実際の所、僕らの奥さんのことです。
カシルダ： あなた達の奥さん！ それならあなたたちは結婚しているのね！
テッサ： 私たちの過ちではないわ。
ジアネッタ： 全く知らなかったの。
二人： 私たちは災難の妹なの。
カシルダ： いい娘たちね、非難はしないわ。先へ進む前に、私たちは本当に満足のいく取り決めに到達しなければなりません。そうしないと絶望的に複雑になってしまいます。
五重唱とフィナーレ － マルコ、ジュゼッペ、カシルダ、ジアネット、テッサ
Here is a case unprecedented
全員 前代未聞の事件だ！王と王妃が不運な星に見舞われた！
結婚が発明されて以来
これほど困難な事件はなかった！
マルコ＆ジュゼッペ 僕はもしかして二分されていたのかもしれない、
深淵なる大破局により！
カシルダ、ジアネッタ、テッサ 予測できない厄災だとしても
私を三分割はできない！
全員 おお、あらゆる道徳家たちよ、
あなたたちはどういうの
一体となった婚姻、
素晴らしい夫が二分されており、
妻は三分割された状態を・
おお、あらゆる道徳家たちよ、
あなたたちはどういうの
結婚とは真の結合状態と？
カシルダ、ジアネッタ、テッサ 私自身の三分の一があなた方またはあなたの半分と結婚している
マルコ＆ジュゼッペ 僕自身の半分が君たちあるいは君の三分の一と結婚したのなら？
（大審問官登場、続くは公爵、公爵夫人、そしてすべてのコーラス）
フィナーレ
レチタティーヴ － ドン・アルハンブラ大審問官
さあ忠誠を誓う臣下たちよ集うのだ ・・・王子の養母が見つかった！
彼女は宣言するだろう、銀のラッパの響きを、
正式な王を － ただちに彼に王冠を！
コーラス 彼女は宣言するだろう．．． etc.
（大審問官、王子の養母イネズを前面に出す）
テッサ 話して、女よ、話すのよ・・・
公爵 我らみなが注目しておる！
ジアネッタ 私たちが聞きたい知らせを・・・
公爵夫人 この瞬間を。
カシルダ 私たちの前に彼らは連れてきた
大審問官 王子の養母を：
マルコ 彼が王なの？
ジュゼッペ それともこの僕の兄弟が?
全員 話して、女よ、話すのよ・・・
レチタティーヴ － イネズ
王が痛くされた王家の王子は私の好意的な世話により、私が年老いてかさかさになる前に；
裏切り者が着て彼の息子と思われた者を奪おうとしたとき、
私自身の小さな息子を私は手際よく入れ替えました！
悪党どもは罠に完全にかかってしまった ・・・
私は王子を隠しとおし － 可愛く眠って居続けた：
私は彼を『息子』と呼んだ、こっそりと容赦の思いを感じながら ・・・
彼の名は、ルイズ！ 王家の殿下を注視せよ！
（大騒ぎ、ルイズは玉座に進み、王冠と王のローブを羽織る）
カシルダ（彼の腕に飛び込む） ルイズ。
ルイズ カシルダ！（抱きしめる）
全員 この人が本当に王なの？
ああ驚くべき事実！
ああ、期待もしなかったこと！
思いがけない状況！
マルコ、ジアネッタ、ジュゼッペ、テッサ
私たちが受けた陳述
感傷的な衝突はあるものの；
我らの心は悦びと哀しみが、
それぞれは対立している；
我らが敬愛している人と
我らは再び結ばれる・・・
ただ一つの点はやや痛ましい
しかし、全体的には、喜ばしい！
ルイズ 他の人がそなたの華奢な手を求めたとき、
僕は待った － 待った － 待った、
大審問官 慎重にも（そう私は理解しているが）
口述筆記させた － 口述した － 口述した
カシルダ 我ら昔の近いの美徳で
記録された － 記録した － 記録した
公爵夫人 あなたの純粋で忍耐強い愛は今
報いられた － 報われた － 報われた
全員 さあ万歳を、おお、黄金の島の王よ、
そして彼の手を求める高貴なる花嫁！
過去は葬られた、貴女は前に進みなさい、
王家の冠と黄金の玉座に！
（全員膝まづく； ルイズはカシルダに王冠を被せる）
全員 またもゴンドラ乗りに、
二人とも巧みで慎重、
この困難から逃れ
満足したは我ら。ああ！
王家から逃れ
我らのゴンドラで働く、
そして陽気に叫ぶ
『プレメェ』（押せ）や『スタリィ』（止めろ）、ああ！ （★）
だからさよならだ、カチューチャ、ファンダンゴ、ボレロ ・・・
僕らは別れの踊りをその拍子で踊ろう ・・・
熟成したシェレス － マンサニリャ、モンテロのワイン
我らは気分よくお前たちを残して去ろう！
★ プレメェもスタリィもベニスのゴンドラ乗りの用語
幕
参考ページ
・台本： ギルバート＆サリヴァン・アーカイヴ のページ
・用語： 用語解説など
参考とした映像
・ YouTube The Gondoliers (1990 オーストラリア版） ： 歌詞、台詞等はいくつか現代風に変えられている 他
2025/03/05 訳
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