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TWO SLEEPY PEOPLE

[ヴァース]
僕たちは責任感というものが
欠如していたようだね、
若い僕たちの恋は一生懸命すぎて
馬鹿みたいさ。
チック　タック　クックー

[リフレイン]

Hope	ここにいる僕たち、煙草も切らしてしまい 手を握り合いあくびをしながら、 もうこんな時間かって驚くほどさ。
Ross	眠そうな二人は、朝日が差し込み始めたのに、 愛しすぎて「お休みなさい」さえ言えないの。 ここにいる私たち、二人掛けの椅子に座って、　　　（★１）
Hope	ウイッシュボーンをもてあそんでいるのさ 冷蔵庫にあったやつを見つけてね。　　　　　　　　（★２） 眠そうな二人は、特に話すこともなく、
Ross	とても愛し合って離れることさえできないの。
Hope	憶えているかい僕たちが玄関の広間でぐずぐずしていたあの夜を？
Ross	（語り）お父さんはあなたをとても嫌っていたわね。
Hope	（語り）父君になにがあったんだろうね？
Ross	（歌）憶えているかしら、なぜ二人が結婚したのが秋だったのか？
Hope	この小さな巣を借りて、 ちょっと休養するためさ。
Ross	でも、ここにいる私たちときたら あの時とたいして変わらないわね ぼんやりとしたお坊ちゃんに
Hope	おねむのちいさな淑女さんの 眠そうな二人は、朝日が差し込み始めたのに、 愛しすぎて「お休みなさい」さえ言えないのさ。
	Film version （上記歌詞から続く）
Ross	ここにいる私たち二人、ひどい有様に見えない？
Hope	襟についた口紅、 君のドレスのしわ
Ross	眠そうな二人だけれど、お互いに 愛しすぎて魔法が解けないことを知っているの。
Hope	ここにいる僕たち二人、頭の中は混乱していて （語り）へー、君の瞳って凄くきれいだよ、 （歌）たとえ赤くなっていても！
	（２小節分の間に警笛とビンの割れる音がする）
Ross	（語り）牛乳屋さんかしら？
Hope	（語り）いいや、夜が明けたんだよ（Dawn breaking)！ （歌）僕たちが車の中で抱き合った夜を憶えているいるかい？ 消えてゆく星たちを見ていたんだよね？
Ross	憶えている、お医者さんがあなたの健康状態は 　アンダーパーだと言ったことを？
Hope	そしたらお馬鹿さんの君ときたら 　ひどい姿だったよ。
Ross	ここにいる私たちときたら、この調子を続けて、
Hope	朝が来るまで お互い顔を叩き合っているのさ。
Both	眠そうな二人は、朝日が差し込み始めたのに、 愛しすぎて言うことも．．．
	（口づけを交わす）

※　訳中のHope はBob Hope（男性）, Rossは Shirley Ross（女性）のパート
歌詞は、"The Complete Lyrics of Frank Loesser"及びボブ･ホープ＆シャーリー･ロスの歌を元にした。


★１：cozy chair ：辞書には二人掛けの天蓋付きの椅子とあるがどのようなものかよく分からなかった。単に、居心地の良い椅子という意味かもしれない。

★２：原文は、Picking on a wishbone from Frigidaire
●Frigidaire フリジデア　は電気冷蔵庫の商品名。
●wishboneとは、Ｖ字状になった鳥の頸と胸の間の叉（さ）骨のこと。
　食後二人でこの骨の先を持って引っぱりあい、長い方を得た人の願いがかなえられると言う迷信から来ている。
●picking on とはどのような動作を指しているのか分からないので、
　とりあえず「もてあそぶ」にした。
(2011/01/29 補足：18世紀の英国を舞台としたヘンリー・フィールディング原作の映画「トム・ジョーンズの華麗なる冒険」 (Tom Jones, 1963) に男女がそれぞれウィッシュボーンを小指で引っ張り合う思わせぶりなシーンが見られるがこのような動作を示しているのだろうか)

この歌は、1938年の映画"Thanks For the Memory"の主題歌でアカデミー主題歌賞を受賞した曲。映画に主演したシャーリー･ロスとボブ･ホープのデュエットもヒットしたが、ファッツ･ワーラーのレコードは当時のポピュラー・ヒッ・トチャートのナンバー・ワンとなった。

ボブ･ホープとシャーリー･ロスのデュエットといえば、映画"The Big Broadcast of 1938 (百万弗大放送）"の主題歌である"Thanks For the Memory" (サンクス･フォー･ザ･メモリー)が最も有名でボブ･ホープの生涯のテーマ曲でもある。

映画"The Big Broradcast of 1938"も"Thanks For the Memory"も1938年公開だが、前者の方が先に公開されたようで、後者は「サンクス･フォー･ザ･メモリー」のという歌のヒットにあやかって作られた映画なのかもしれない。

歌詞の内容も、「サンクス・フォー・ザ･メモリー」に似た感じで、二人の思い出の種をリストアップする歌だが、「眠そうな二人」の方は幸せいっぱいといった歌。

二人は1939年の映画"Some Like It Hot(Rhythm Romance)" でも"This Lady's In Love With You"を歌ってヒット･チャートの２位につけている。

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作詞のフランク･レッサー（Frank Loesser)は、アーヴィング･バーリン、コール･ポーター同様に自身のミュージカルで作詞・作曲両方をものにし、ブロードウェイで最も守備範囲の広い(versatile)作曲家だと言われている。
彼の５本のミュージカルは、いずれもブロードウェイで最もクリエイティヴで永続性のある業績をあげたと言われる、
①チャーリーは何処？(Where's Charley?)
②野郎どもと女たち（Guys and Dolls) 彼の最初のトニー賞受賞作
③モースト・ハッピイ・フェラ（The Most Happy Fella)
④グリーンウイロウ(Greenwillow)
⑤努力しないで出世する方法(How to Succeed in Business Without Really Trying)　トニー賞及びピュリッツア賞を両方受賞

しかしながら、ミュージカルを始める前から、彼はハリウッドのヒット・メイカーとして知られていた。その中にはオスカーを受賞した
"Baby, It's Cold Outside"をはじめ、
"On a Slow Boat to China",
"Two Sleepy People",
"Heart and Soul",
"I Don't Want to Walk Without You",
"Spring Will Be a Little Late This Year"
など多くのジャズ･スタンダードを書いたことで知られている。

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作詞：フランク･レッサー Frank Loesser
作曲：ホーギー･カーマイケル Hoagy Carmichael
映画 "Thanks for the Memory" (1938) より

CD, LP
● アン・ギルバート Ann Gilbert : イン・ア・スィンギン・ムード
● ベヴ･ケリー Bev Kelly : パット・モラーン・カルテット/ホワイル・アット・バードランド (Bethlehem)
● ボブ･ホープ＆シャーリー･ロス Bob Hope, Shirley Ross : これがエンタテインメント (Decca)
● コーキー・シェイン Corky Shayne : In the Mood for a Song (Salem rec.)
● ファッツ･ワーラー Fats Waller: The Very Best of Fats (RCA BGM)
● ホーギー･カーマイケル Horgy Sings Carmichael (Pacific)
● ジェーン・ハーヴェイ Jane Harveyファッツ・ワーラーを歌う(Inner City)
● ジェリ･サザーン Jeri Southern Meets Johnny Smith (Roulette)
● ロニー・ホワイト＆ダリル・シャーマン Ronny Whyte & Daryl Sharman : A Tribute to Bob Hope(Audiophile)
● サミー･デイビス＆カーメン･マクレー Sammy Davis, Jr. & Carmen McRae : Boy Meets Girl (Decca)

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2006/11/19 訳
2012/05/10 レイアウト変更等

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