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TOMORROW MOUNTAIN

[ヴァース]
俺たちはトワイライト・アリーで罠に掛けられてしまった
俺たちが逃げるところはない
でも素晴らしい谷間の噂を聞いたんだ
今上っている太陽の向こうにあると


[リフレイン]
トゥモロウ・マウンテンをただ越せばいいんだ
そこには楽しい都市があるって聞いたんだ、
住人は素晴らしく時間は計画されているんだ
だから毎日がクリスマスなんだ。

スコッチ＆ソーダの泉の下には
俺たちのためのごちそうが用意されているんだ
タバコの木の下で俺たちはくつろぐのさ
その間警官はハエを団扇で仰いでくれるのさ

そこではお前たちは幸運な罪人になるんだ
良心に従う必要もないんだ
どの馬もお前が賭ければ一着さ
それにどの銀行もドアが広く開けられているんだ

トゥモロウ・マウンテンを越すことで
自由きままな生活が過ごせるのさ
プラチナ通りに俺たちは足を踏み入れようぜ
とてもきれいな土地なんだ
さあ急いで一緒に行こうぜ

トゥモロウ・マウンテンをただ越せばいいんだ
どの娘も五月の女王になるのさ
台所にある食器はどれも金縁で
請求書がないから支払も必要ないんだ

あの遠くの山を越えられるだろう
そこは雨がシャネルの５番なんだ
それに側溝はミンクが張られていて
それにダイアモンドの藪が茂っているんだ

既にローストしてある豚が歩き回っていて
ハムのスライスをいただかないか
マシュマロの花が咲いてて、既に焼いてあってるんだ
それに雲はマーマレードとジャムでできているんだ

トゥモロウ・マウンテンが見えないか
キラキラ輝いているのが見えるだろう
それは上下さかさまの素敵な街さ
そこはあぶく銭だらけなんだ
荷造りして行こうじゃないか


（原歌詞は 歌詞紹介のページ を参考に）

※　1728年に英国で上演されたジョン・ゲイ原作の『ベガーズ・オペラ』（The Beggar's Opera) をドイツ語に翻訳し20世紀初頭の現代に移行しジャズ音楽を取り入れた音楽付き劇が『三文オペラ』(1928)。
第二次大戦後の開放的な気分の中で、若き黒人デザイナー、舞台マネージャーのペリー・ワトキンズは、 W.P.A. Negro Theatre でオーソン・ウェルズが全黒人キャストで『オセロ』を上演したことに触発され、最初のプロデュース作品として『ベガーズ・オペラ』を人種混淆にし、ジャズをドライブ素材としてミュージカル化した『ベガーズ・ホリディ』 Beggar's Holiday (1946) という野心作をプロデュースした。

この舞台に集められたのは、監督に映画『理由なき反抗』のニコラス・レイ。役者はマクヒース役のアルフレッド・ドレイク、ピーチャム役にゼロ・モステルなど。台本及び作詞は、オール黒人キャストのミュージカル "Cabin in the Sky" の歌詞を書いたジョン・ラトゥーシュ。曲は当時第一級のジャズ・バンドであったデューク・エリントンに依頼された。

この歌は第１幕終幕時に マクヒース役のアルフレッド・ドレイクが歌ったドライブ感あふれるナンバー。当時リナ・ホーンのレコードがヒットした。他にフランキー・レイン、ジョー・スタッフォード、ベティ・ベネットなどの録音がある。

補足：
１． ビリー・ストレイホーン伝記の書籍 "Lush Life" (David Hajdu) page 100-105 には『デューク・エリントンはブロードウェイ・ショーを書く野望はあったものの、彼はまったく劇のことは知らないのに「ブロードウェイのショーを書きたいと思う以上にブロードウェイのショーを書いたことでの認知が欲しかったようだ」とエリントン家の友人で息子マーサのジュリアード同級生だった、舞台の音楽作りを手伝ったルーサー・ヘンダーソンは回想している。
しかもエリントンは契約上巡業でバンドから離れるわけにはいかなかった。しかしミュージカル作りにおいては作曲家が舞台に常時いる必要があったので、エリントンは「ビリー・ストレイホーンを残しておくよ...」といって劇の虫だったストレイホーンをスタッフたちに預けてミュージカルが作られた』とある。よって実質はストレイホーンが曲作りの大部分を担ったのだろう。これはレヴュー "Jump for Joy" もエリントン作曲となっているがストレイホーンが実質書いたのと同様だろう。
『しかしエリントン＆ストレイホーン作曲では観客にアピールしないので商業的成功のため "エリントン" 作曲とクレディットされた。
劇はヒットとはならず、111上演で終了することになったのは "観客が黒人と白人が一緒にいることにショックを受けたためで新しすぎた" とジョージ・アボットはコメントしている...』

２． 所でこの歌詞は、ホーボー（渡り労働者）の夢を歌ったアメリカ民謡 "The Big Rock Candy Mountain" にそっくりな内容だ（ソーダの泉、タバコの木など）。おそらくこの民謡を下敷きに書いたものだろう。下に民謡の方の訳をのせる。

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作詞： ジョン・ラトゥーシュ John Latouche
作曲： デューク・エリントン Duke Ellington
出典： ミュージカル Begger's Holiday (1946)

YouTube
■　リナ・ホーン
■　ジョー・スタッフォード
■　キャロル・スローン
■　フランキー・レイン
■　ベティ・ベネット
■　ブロードウェイ・キャスト（2015)
■　Alessandro Brachetti , Teatro Comunale Bologna

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THE BIG ROCK CANDY MOUNTAIN

On a summer day in the mounth of May,
A burly bum came hiking
Down a shady lane, through the sugar cane,
He was looking for his liking.

As he roamed along he sang a song
Of the land of milk and honey,
Where a bum can stay for many a day
And he won't need any money.

[Chorus]
Oh! the buzzin' of the bees in the Cigarette Trees,
Near the Soda Water Fountain,
At the Lemonade Springs
Where the blueburd sings,
In the Big Rock Candy Mountain.

五月のある夏の日のこと、
たくましい浮浪者が歩いていた
サトウキビ畑の木陰の道を
彼は好みのものを探してきたのだ。

彼は歩きながら歌を歌った
ミルクとハチミツ（豊かな生活の糧）の土地の歌を、
そこは浮浪者が何日も過ごせる所
そしてお金の心配もない所。

[コーラス]
ああ、タバコの木にミツバチがブンブンうなっている
ソーダ水の噴水の近くには、
レモネードの泉が
そこは青い鳥が囀っている
大きなキャンディ岩の山では。


＊＊＊　ハリー・マクリントック（1928）版　＊＊＊

[Verse 1]
One evening as the sun went down
And the jungle fire was burning
Down the track came a hobo hikin'
And he said, "Boys, I'm not turning
I'm headed for a land that's far away
Besides the crystal fountains
So come with me, we'll go and see
The Big Rock Candy Mountains."

ある日の落ちた夕方
ジャングルの炎は燃え続けていた
道を歩いて来た一人の渡り労働者
彼はこういった、『坊や、俺は戻る気はない
俺は遠くの土地に行くんだ
クリスタル泉の隣にある場所さ
だから一緒に来いよ、行ってみないか
ビッグ・ロック・キャンディ山に』

[Verse 2]
In the Big Rock Candy Mountains
There's a land that's fair and bright
Where the handouts grow on bushes
And you sleep out every night
Where the boxcars all are empty
And the sun shines everyday
All the birds and the bees
And the cigarette trees
The lemonade springs
Where the bluebird sings
In the Big Rock Candy Mountains

ビッグ・ロック・キャンディ山には
そこはきれいに輝いた土地
お布施の木が茂っている所
毎晩外泊ができる所さ
貨物車はどれも空っぽで
毎日が天気
鳥にミツバチ
タバコの木
レモネードの泉
青い鳥が囀っている
ビッグ・ロック・キャンディ山では

[Verse 3]
In the Big Rock Candy Mountains
All the cops have wooden legs
And the bulldogs all have rubber teeth
And the hens lay soft-boiled eggs
The farmers' trees are full of fruit
And the barns are full of hay
Oh, I'm bound to go
Where there ain't no snow
Where the rain don't fall
The wind don't blow
In the Big Rock Candy Mountains

ビッグ・ロック・キャンディ山の
警官たちはみんな木製の足
それにブルドッグの歯はどれもゴム製
めんどりが産むたまごは半熟卵
農民の育てる木はどれも果実がいっぱい
それに納屋には干し草が大量に
ああ、俺は行く決心をしたんだ
そこは雪の降らないところ
それに雨も降らない所
風も吹かない
ビッグ・ロック・キャンディ山では

[Verse 4]
In the Big Rock Candy Mountains
You never change your socks
And the little streams of alcohol
Come trickling down the rocks
The brakemen have to tip their hats
And the railroad bulls are blind
There's a lake of stew
And of whiskey too
You can paddle all around them
In a big canoe
In the Big Rock Candy Mountains

ビッグ・ロック・キャンディ山では
靴下を履き替える必要はなくて
アルコールが小川から
岩を通ってしたたり
それに制動手が帽子を取ってあいさつし
鉄道のポリ公はみなメクラで
シチューの湖があり
それにウィスキーもあるんだ
湖の中を漕ぐことができるんだ
大きなカヌーでね
ビッグ・ロック・キャンディ山では

[Verse 5]
In the Big Rock Candy Mountains
The jails are made of tin
And you can walk right out again
As soon as you are in
There ain't no short-handled shovels
No axes, saws, or picks
I'm going to stay
Where you sleep all day
Where they hung the Turk
That invented work
In the Big Rock Candy Mountains

ビッグ・ロック・キャンディ山の
ブタ箱はブリキ製だから
すぐに歩いていつも脱獄できるのさ
お前がぶち込まれたとしても
斧や鋸やつるはしなんかはないのさ
行くつもりさ
一日中眠っていられるところ
住民は暴君を絞首刑にするのさ　（★）
仕事を作り出した暴君を
ビッグ・ロック・キャンディ山では。


（ハリー・マクリントック版歌詞 Genius のページ ）

※　機関手や警官から嫌われ衣食住に困難をともなうホーボー（渡り労働者）の夢を歌ったアメリカ民謡。
1928年にハリー・マクリントック "Harry McClintock" が初録音を行うとともに版権登録をしたが、それ以前 1898年頃から歌っていたと主張する者もいた。とにかくマクリントックの版権は通ったようだが日本では版権切れになっており PD 扱いだ。
ハリー・マクリントックの歌は「アダルト版」であり "タバコの木" を "ペパーミントの木" などに置き換えた「キッズ版」歌詞も存在する。

★： Turk はトルコ人のことだが、俗語で「暴君」「アイルランド人」などの意味がある。

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アメリカ民謡
作詞・作曲： ハリー・マクリントック Harry McClintock (1928)

YouTube
■　バール・アイヴス
■　ハリー・マクリントック
■　ピート・シーガー

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2023/07/15 訳

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