［ヴァース］
I've been married and married,
And often I've sighed,
I'm never a bridesmaid,
I'm always a bride
I never divorced them—
I hadn't the heart.
Yet remember these sweet words,
"Till death do us part."

私は結婚式に何度も出席したわ、
そしてしばしば私はため息をついたもの、
私は花嫁付添人になったことなどないの、
私はいつだって新婦。
私は離婚などしたことはなくて ―
そんな心根なんてさらさらなかったわ。
でも思い出すのはこんな素敵な言葉よ
『死が我らを分かつまで』

［リフレイン１］
I married many men,
A ton of them
Because I was untrue to none of them
Because I bumped off every one of them
To keep my love alive.

私は多くの男と結婚したもの、
たくさんの男と、
でも彼らに不誠実だったことなんて一回たりとも
だって私は彼らみんなを片づけたからよ　★１
我が愛を生かしておくためにね。

Sir Paul was frail;
He looked a wreck to me.
At night he was a horse's neck to me.
So I performed an appendectomy
To keep my love alive.

ポール卿は虚弱体質だった：
私には廃人同然に見えた、
ある晩彼は馬の首に見えた。　★２
だから私は虫垂を切った
我が愛を生かしておくためにね。

Sir Thomas had insomnia;
He couldn't sleep at night.
I bought a little arsenic,
He's sleeping now all right.

トーマス卿は不眠症だった：
彼は夜眠れなかった。
私は砒素を買ってあげた、
今では安らかな眠りに。

Sir Philip played the harp;
I cussed the thing.
I crowned him with his harp
To bust the thing.
And now he plays where harps are
Just the thing,
To keep my love alive,
To keep my love alive.

フィリップ卿はハープの演奏者：
罵りたい位の演奏。
王冠のごとくハープを彼の頭に授けた
ゴツンと一発ね。
それで今では彼はハープのある所で演奏しているわ
うってつけの場所で。　★３
我が愛を生かしておくためにね、
我が愛を生かしておくためにね。

［リフレイン２］
I thought Sir George had possibilities,
But his flirtations made me ill at ease.
And when I'm ill at ease,
I kill at ease
To keep my love alive.

私にはジョージ卿は見込みありに思えた、
でも彼の浮気性にはイライラさせられた
私がイライラさせられた時に
あっさり殺（や）っちゃった。　★４
我が愛を生かしておくためにね。

Sir Charles came from a sanitorium
And yelled for drinks
In my emporium.
I mixed one drink—
He's in memorium
To keep my love alive.

チャールズ卿は療養所帰り
彼は呑むと大声で叫ぶの
商店街のど真ん中で。
私は彼に一杯作ってあげた ―
墓碑銘には彼の名前が　
我が愛を生かしておくためにね。

Sir Francis was a singing bird,
A nightingale, that's why
I tossed him off my balcony,
To see if he could fly.

フランシス卿は歌い鳥、
ナイチンゲール。 だからね
私は彼をバルコニーから解き放ったの、
彼が飛べるかどうか確認するため。

Sir Athelstane indulged in fratricide;
He killed his dad and that was patricide.
One night I stabbed him by my mattress side
To keep my love alive,
To keep my love alive.

アセルスタン卿が耽ったのは兄弟殺し：
彼はお父ちゃんを殺しそれは親殺し。
ある夜私は彼をマットレスから刺し
我が愛を生かしておくためにね、
我が愛を生かしておくためにね。

［アンコール用リフレイン］
I caught Sir James with his protectoress,
The rector's wife, I mean the rectoress.
His heart stood still– angina pectoris.
To keep my love alive.

私が捕まえたのは後援者婦人がいたジェイムズ卿、
教区司祭の夫人、つまりは教区司祭女史。
彼の心臓は止まってしまい ― 狭心症に　★５
我が愛を生かしておくためにね。

Sir Frank brought ladies to my palaces.
I poured a mickey in their chalices.
While paralyzed they got paralysis
To keep my love alive.

フランク卿は私の王宮に女性たちを従えて来た。
私は皆の杯に一服盛った。　★６
唖然としているうちに皆唖然と麻痺した
我が愛を生かしておくためにね。

Sir Alfred worshipped falconry;
He used to hunt at will.
I sent him on a hunting trip.
They're hunting for him still.

アルフレッド卿は鷹狩りを礼賛した：
彼はよく意のままに狩りに行ったもの。
私は彼を狩りに出かけさせた
彼らは今でも彼を狩りしている。

Sir Peter had an incongruity,
Collecting girls with promiscuity.
Now I'm collecting his annuity,
To keep my love alive,
To keep my love alive.

ピーター卿には調和しないものが、
乱交で少女たちを集合させて。
今じゃ私は彼の年金を取っている
我が愛を生かしておくためにね、
我が愛を生かしておくためにね。

Sir Ethelbert would use profanity;
His language drove me near insanity.
So once again I served humanity,
To keep my love alive.

エセルバート卿は悪態を吐きたがる：
彼の言葉に私は気も狂わんばかり。
だから再度私は人類愛を見せたの
我が愛を生かしておくためにね。

Sir Curtis made me cook each dish he ate,
And ev'rything his heart would wish he ate.
Until I fiddled with a fish he ate.
To keep my love alive.

カーティス卿は毎度の食事を私に用意させる、
彼ときたら何でも食べたいと思う始末。
それも彼の食事に一手間かけた魚を出すまでのこと
我が愛を生かしておくためにね。

Sir Marmaduke was awfully tall;
He didn't fit in bed.
I solved that problem easily—
I just removed his head.

マーマデューク卿はとってものっぽ；
ベッドにサイズが合わない。
その問題は簡単に解決したの ―
ただ彼の首を取り除いただけのこと。

Sir Marc adored me with formality;
He called a kiss a immorality.
And so I gave him immortality,
To keep my love alive,
To keep my love alive.

マーク卿は私を公式には崇敬している；
彼は不道徳にも口づけを求めた。
だから私は彼には不朽の名声を与えたってこと　★７
我が愛を生かしておくためにね、
我が愛を生かしておくためにね。

※　自分の愛情生活 (my love) を維持するため、愛する夫 (my love) をどうやって片づけたかを説明する、捻ったタイトルの黒い笑いのある歌。

マーク・トウェインの小説 「アーサー王宮のコネチカット・ヤンキー」 を軽量化し恋愛要素にスポットを当てた 1927年ミュージカル 『コネチカット・ヤンキー』の 1943年に再演時に追加された歌。

1927年版『コネチカット･･･』には Thou Swell, My Heart Stood Still などの人気曲があったが、再演に際してロジャーズ＆ハートは人気曲は残し、約半分の歌を書き替えた。追加された歌の中ではこれはショーストッパーとなった曲で、元はハートが学生時代に作った詩を書き直したものという。そしてこれはハートの実質的な遺作であり彼は開幕の５日後に亡くなっている。

この歌を紹介したのはジーン・ケリー唯一のブロードウェイ作品 Pal Joey (1941) で Bewitched を歌ったヴィヴィアン・シーガル Vivienne Segal で、彼女はアーサー王の義姉で魔法使いのモルガン・ル・フェイ王女という悪役を演じた。

歌詞は Lorenz Hart & Marshall Barer にあるが、いくつかの語を説明すると。
★１　bump off は、殺す、片づける、バラす等の俗語
★２　horse's neck という一種のカクテルもあるが「馬の首」と「虫垂手術」に関連性はないだろう。原文は
　　At night he was a horse's neck to me.
　　So I performed an appendectomy
であり、neck to me と -dectomy は前の行も含め、女性韻（多重韻）をなしている。
★３　天国にいることを暗示している
★４　ここにも possibilities (パサビラティーズ）と ill at ease (イラティーズ）と kill at ease （キラティーズ）間で女性韻が使われているが、他の "片づけ" エピソードでもこのような技巧が多く見受けられる。
トーマス卿、フィリップ卿、フランシス卿、マーマデューク卿のように "片づけ方" の発想が面白い歌詞もあるが、歌詞の意味だけ訳しても面白みはぴんと来ないものも多々ある。この歌の魅力は韻をうまく使った突飛な言葉の数々が、駄洒落のような効果を生み聴衆に思わぬ笑いを起こさせる所にあるのではないか。

★５　「心臓がとまる」はこの舞台のヒット My Heart Stood Still を引用している。
★６　to pour a Mickey は鎮静剤、睡眠薬などを盛ること。
★７　似た言葉、不道徳 immorality と 不朽、不死 immmortality で洒落ている。

作詞：　ロレンズ・ハート Lorenz Hart
作曲：　リチャード・ロジャーズ Richard Rodgrs
ブロードウェイ・ミュージカル A Connecticut Yankee (1943 revival)

LP,CD
●　アニタ・オディ Anita O'Day & Billy May Swing Rodgers & Hart (Verve, 1960)
●　ブロッサム・ディアリー Blossom Dearie : Soubrette Sings Broadway Hit Songs (Verve, 1960)
●　エラ・フィッツジェラルド Ella Fitzgerald Sings the Rodgers & Hart Songbook (Verve, 1956)
●　メリー・マーティン Mary Martin Sings, Richard Rodgers Plays (RCA)

YouTube
■　アニー・セリック Annie Sellick のジャズ・ライヴ
■　ブロッサム・ディアリー　：　2006年作成のショート・ストップ・モーション・アニメに彼女の歌が使われたとある
■　舞台女優エレイン・ストリッチ Elaine Stritch 　：　モルガン・ル・フェイ王女の衣装でのパフォーマンスだろう
■　エラ・フィッツジェラルド　：　エラには同様の妖婦もの Hard-hearted Hannah という歌も録音している
■　ソフィア・ローレン 　：　1960年のピーター・セラーズとの共演盤ということだが何とも若々しい声