|
|
|
EVERYTHING'S COMING UP ROSES
I had a dream, a dream about you, baby.
It's gonna come true, baby.
They think that we're through, but baby,
You'll be swell! You'll be great!
Gonna have the whole world on the plate!
Starting here, starting now,
honey, everything's coming up roses!
Clear the decks! Clear the tracks!
You've got nothing to do but relax.
Blow a kiss. Take a bow.
Honey, everything's coming up roses!
Now's your inning. Stand the world on it's ear!
Set it spinning! That'll be just the beginning!
Curtain up! Light the lights!
You got nothing to hit but the heights!
You'll be swell. You'll be great.
I can tell. Just you wait.
That lucky star I talk about is due!
Honey, everything's coming up roses for me and for you!
You can do it, all you need is a hand.
We can do it, Mama is gonna see to it!
Curtain up! Light the lights!
We got nothing to hit but the heights!
I can tell, wait and see.
There's the bell! Follow me!
And nothing's gonna stop us 'til we're through!
Honey, everything's coming up roses and daffodils!
Everything's coming up sunshine and Santa Claus!
Everything's gonna be bright lights and lollipops!
Everything's coming up roses for me and for you!
私には夢があるの。
あんたへの夢よ、ベイビー！
夢が本当になろうとしてるのよ、ベイビー！
みな私たちの仲は終わったと思っている。
でも、ベイビー。
あんたは素晴らしくなれるのよ、偉大になれるのよ、
やすやすと世界を手に入れることができるのよ！
ここから始めましょう、直ぐに始めるのよ、
ハニー、全てがバラ色になろうとしているのよ！
（別の意味：全てローズの思い通りなるのよ）
舞台を綺麗にして、足跡も綺麗に磨くのよ
あんたは気楽にしているだけでいいのよ
キスを投げかけ、お辞儀をして ・・・
ハニー、全てがバラ色になろうとしているのよ！
今こそあんたの出番よ ・・・
世間の注目をひくのよ！
体をスピンさせて、
ほんの始まったばかり！
カーテンを上げて、照明を点けて、
邪魔するものもなく頂点に行くだけ！
あんたは素晴らしくなれるの、
あんたは偉大になれるの、
私には言えるの ・・・
見ていなさい、分かるから！
私の言う幸運の星は義務！
ハニー、全てがバラ色になろうとしているのよ
私とあんたのために！
あんたなら出来るわ、
必要なものは手だけよ。
私たちには出来るの、
ママが見ていて上げるから！
カーテンを上げて、照明を点けて、
邪魔するものもなく頂点に行くだけ！
私には言えるの、
待てば分かるから！
ベルの音が聞こえる、
私についてきて、
誰にも最後まで私たちを邪魔させないわ！
ハニー、全てがバラ色や水仙色になろうとしているのよ、
全てが日の光とサンタクロースに、
全てが輝く光とペロペロキャンディーに、
全てがバラ色になろうとしているのよ
私とあんたのために！
※ 最近ナタリー・ウッドが話題になったが、この歌を思い出したので訳してみた。
この歌は、20世紀前半の伝説のストリップティーズ・ダンサーであるジプシー・ローズ・リーの回想をミュージカル化した「ジプシー」でエセル・マーマンが歌った彼女のシグネチュア・ソングの一つ。 come up roses は口語で、バラ色になる、成功するなどの意味があるが wikipedia によるとこのタイトルは他の含みがあるという。それを要約すると、
『ヴォードヴィルで働く娘たちの典型的なステージママであるママ・ローズは、第一幕の終り付近でお気に入りで大スターにさせる予定だった次女のジューンに駆け落ちされてしまう。ジューンの姉のロイーズとママの婚約者のハービーは母親の夢であったジューンをスターにするという夢が潰えたことに安堵する。しかしローズはめげることもなく今度は長女のロイーズを何としてもスターに仕上げようと決める。そこでロイーズに向かって歌うのが Everything's Coming Up Roses 。 roses はしゃれであり、一つは①「全てがバラ色になりうまく行こうとしている」を意味しているが、もうひとつは②「全てローズの思っている通りになろうとしている」という二重の意味を掛けた曲名となっている』
といった具合だが、実際歌詞の流れを見るとヴァースに続く、１番の歌詞は娘を鼓舞させる①の意味になっているが、２番になるとママ・ローズ色が強くなり②の意味になっていることに気づく。
ロイーズは後にジプシー・ローズ・リーという芸名でバーレスクの大スターとなり映画にも出演し人気を得る。ロイーズの妹となっているジューンも June Havoc という実在の女優だが実際はジューンの方が年上。彼女は、映画「紳士協定」、You'll Never Know がアカデミー主題歌賞を取った "Hello, Frisco, Hello" などにも出演している。
参考資料
● ミュージカル「ジプシー」概要
● 歌の説明
● ジプシー・ローズ・リーのストリップ演技 ユーモアと品性があり彼女は自分の演技を「焦らし」 tease と言わせたという。ヌード、下着姿、水着姿を映画・ＴＶ・雑誌等で当たり前のように見る現在では、何のショックも受けることはないが。
作詞： スティーヴン・ソンドハイム Stephen Sondheim
作曲： ジューリー・スタイン Jule Styne
ブロードウェイミュージカル Gypsy (1959) よりエセル・マーマンが紹介
CD, YouTube
● エセル・マーマン Ethel Merman collection
● ジゼル・マッケンジー Gisele Mackenzie in Person (Everest)
● ローズマリー・クルーニー Rosemary Clooney : Clap Hands (RCA)
● ローズマリー・スクヮイアーズ Magic of Rosemary Squires
■ Ruthie Henshall よく知らない歌手だが検索した中では、最もはっきりした音だったので
■ ロザリンド・ラッセル 映画のクリップだがいつか消えるかも
ジプシー・ローズ・リーの上品で徐々に着る物をはぎ取っていく焦らしスタイルは、ロジャーズ＆ハートのミュージカル「パル・ジョイ」の Zip という曲でパロディー化されているという。
ZIP (from the musical "Pal Joey")
［ヴァース］
I've interviewed Leslie Howard.
I've interviewed Noel Coward.
I've interviewed the great Stravinsky.
But my greatest achievement
Is the interview I had
With a star who worked for Minsky.
I met her at the Yankee Clipper
And she didn't unzip one zipper.
I said, "Miss Lee, you are such an artist.
Tell me why you never miss.
What do you think of while you work?"
And she said, "While I work
My thoughts go something like this."
私はレスリー・ハワードをインタヴューしたこともある、
私はノエル・カワードをインタヴューしたこともある、
私は偉大なストラヴィンスキーをインタヴューしたこともある、
しかし私の最も偉大な成果と言える
インタヴューは
ミンスキーで働くスターだった。
私は彼女とヤンキー・クリッパー（ストリップ劇場）で会った
彼女はジッパーを一つも外さなかった。
私は言った『ミス・リー、あなたは偉大な芸術家です。
教えて下さい、何故あなたは失敗しないのかを。
仕事中に何を考えているのですか？』
そうしたら彼女は答えた。『私が仕事しているときには
考えていることといえばこんな風なことよ。』
［リフレイン１］
Zip! Walter Lippmann wasn't brilliant today.
Zip! Will Saroyan ever write a great play?
Zip! I was reading Schopenhauer last night.
Zip! And I think that Schopenhauer was right.
I don't want to see Zorina.
I don't want to meet Cobina.
Zip! I'm an intellectual.
I don't like a deep contralto,
Or a man whose voice is alto.
Zip! I'm a heterosexual.
Zip! It took intelect to master my art.
Zip! Who the hell is Margie Hart?
ジップ！ ウォルター・リップマンは今日はさえなかったわ。
ジップ！ ウィル・サローヤンは今まで偉大な劇を書いたかしら？
ジップ！ 昨晩はショーペンハウェルを読んでいたわ。
ジップ！ そこでショーペンハウェルは正しいと思ったわ。
私はゾリーナを見たいと思わない。
私はコビーナに会いたいとは思わない。
ジップ！ 私は知的な人間。
私は深いコントラルトは好きじゃない、
それにアルトの男性の声もそう。
ジップ！ 私は異性愛者よ。
ジップ！ 私の芸術を極めるのは知性が必要。
ジップ！ マギー・ハートがどうしたっていうのよ？
［リフレイン２］
Zip! I consider Dali's painting passe.
Zip! Can they make the Metropolitan pay?
Zip! English people don't say clerk, they say clark.
Zip! Anybody who says clark is a jark!
I have read the great Kabala
And I simply worship Allah.
Zip! I am just a mystic.
I don't care for Whistler's Mother,
Charlie's Aunt, or Shubert's brother.
Zip! I'm misogynistic.
Zip! My intelligence is guiding my hand.
Zip! Who the hell is Sally Rand?
ジップ！ ダリの絵は時代遅れに思えるわ。
ジップ！ メトロポリタン美術館は元を取れるかしら？
ジップ！ 英国人は事務員 (clerk) をクラーク (clark) と発音するのね。
ジップ！ 誰であれクラーク (clark) と発音する奴はジャークよ！
私は偉大なるカバラを読み、
アッラーを純粋に偉大だと思ったわ。
ジップ！ 私は単なる神秘主義者。
私にはホイッスラーの母親も
チャーリーの叔母さんも、シューバートの兄弟も興味ないわ。
ジップ！ 私は女性嫌悪者。
ジップ！ 私の知力が私の手を動かしている。
ジップ！ サリー・ランドがどうしたっていうの？
［リフレイン３］
Zip! Toscanini leads the greatest of bands.
Zip! Jergen's Lotion does the trick for his hands.
Zip! Rip Van Winkle on the screen would be smart.
Zip! Tyrone Power will be cast in the part.
I adore the great Confucius,
And the lines of luscious Lucius.
Zip! I am so ecletic.
I don't care for either Mickey—
Mouse and Rooney make me sicky!
Zip! I'm a little hectic.
Zip! My artistic taste is classic and dear.
Zip! Who the hell's Lili St. Cyr?
ジップ！ トスカニーニは最高の楽団を率いているわ。
ジップ！ ジャーゲンズ・ローションは手がすべすべになると思わせているだけ。
ジップ！ 映画のリップ・ヴァン・ウィンクルは頭がよさそうじゃない。
ジップ！ タイロン・パワーは役を下ろすべきよ。
私は偉大なる孔子を尊敬している
それに私は絢爛なルーシャスの顔立ちも。
ジップ！ 私はとても折衷主義者。
私はどちらのミッキーも気に入らない ・・・
ネズミもルーニーも私を滅入らすだけ！
ジップ！ 私にはちょっと熱があるの。
ジップ！ 私の芸術的好みは古典的で心からのもの。
ジップ！ リリー・セント・シアがどうしたって言うの？
※ Zipは衣服をはぎ取るときの擬音、ビュッ、ヒュッ、サッ といった感じ。
以下の固有名詞の説明は Lorenz Hart & Marshall Barer のページを参考にした。
★ ミンスキー： バーレスク劇場経営者であるミンスキー兄弟のことで、ミス・リーとはもちろんジプシー・ローズ・リー
★ レスリー・ハワード： 俳優。「風と共に去りぬ」など。
★ ノエル・カワード： 英国の劇作家、俳優、ソングライター。映画「逢びき (Brief Encounte, 1945)」原作者。
★ ヤンキー・クリッパー： ジョー・ディマジオやヤンキース選手もヤンキー・クリッパーと言うがここでは意味が違う。 Yankee Clippers は俗語としてストリッパーを意味する。
★ リップマン： コラムニスト
★ サローヤン： 劇作家、小説家
★ ショーペンハウェル： ドイツの哲学者
★ ゾリーナ Vera Zorina ： バレリーナ
★ コビーナ Cobina Write ： 女優、後にゴシップ記事欄の主幹として有名になった。
★ マギー・ハート Margaret Hart Ferraro ： ストリッパー
★ クラーク： カタカナにすると同じだが、 clerk のアーと、 clark のアーは発音が異なる
★ ジャーク jark ： 意味不明。多分俗語でけなすような意味だろう。
★ カバラ Kabala ： 神秘的ユダヤ教。
★ ホイッスラーの母親： アメリカ人画家、ジェームズ・マクニール・ホイッスラー James McNeill Whistler の作品 Artist's Mother (通称 Whistler's Mother) のことだろう
★ チャーリーの叔母さん： レイ・ボルジャー主演のミュージカル Where's Charlie の原作 Charlie's Aunt のことだろう
★ シューバート兄弟： ブロードウェイ劇場の支配人、劇プロデューサー。
★ サリー・ランド Sally Rand ： 大きな羽根扇で踊ったストリッパー。 Hooray for Hollywood 参照
★ トスカニーニ： イタリアの指揮者
★ ジャーゲンズ Jergens ： シンシナティに拠点を置くスキンケア製品の会社の商標名
★ リップ・ヴァン・ウィンクル： ワシントン・アーヴィングの短編に出てくるアメリカ版浦島太郎
★ タイロン・パワー： 二枚目俳優。
★ ルーシャス Lucius Beebe ： アメリカ人作家、グルメ、写真家、鉄道歴史家、新聞コラムニスト。
★ ミッキー・ルーニー： 映画俳優。
★ リリー・セント・シア Lili St. Cyr ： バーレスクのストリッパー。ミュージカル Rocky Horror Picture Show の Don't Dream It でも彼女の名前が言及されている。
作詞： ロレンズ・ハート Lorenz Hart
作曲： リチャード・ロジャーズ Richard Rodgers
ブロードウェイミュージカル Pal Joey (1940) から
(ちなみに、この舞台には、ジプシー・ローズ・リーの妹 June Havoc が出演している）
YouTube
■ 1995 のオリジナル・ニューヨーク・キャスト録音 ほぼオリジナルに近い歌詞で歌っている
■ 映画「夜の豹」でのリタ・ヘイワース 歌詞は異なる。ジップと言いながら手袋を脱いでいる
2011/12/01 訳
ページトップへ