JUST A-SITTIN' AND A-ROCKIN
& A LONELY COED


今回は初期ビリー・ストレイホーン作品で、デューク・エリントン楽団の歌手アイヴィー・アンダーソンが歌った２曲を訳す。

1. Just A-Sittin' and A-Rockin'
2. A Lonely Coed




JUST A-SITTIN' AND A-ROCKIN'

I know I should go out
Be seen here and there
But my friends have found out
My baby don't care

I don't go out walkin'
I ain't for no talkin'
My baby's done left me
Just a-sittin' and a-rockin'

If I had been schemin'
Instead of just dreamin'
He'd never have left me
Just a-sittin' and a-rockin'

Sittin' all day without holdin' my baby
Makes me so blue and sad
If he don't hurry and come back
It's a cinch to drive me mad

Now if I don't find him
I hope you'll remind him
That I'm stayin' where he left me
Just a-sittin' and a-rockin' all day


　　分かっているわ、外に出て
　　色んな所をみなきゃって
　　でも友達は知っているの
　　彼が気にしていないってことを

外に出歩くこともないし
誰とも話さない
彼が私を捨てたから、
揺り椅子に腰かけ、うとうとするだけ。

上手く振るまっていたのなら、
夢見てるだけでなく、
そしたら彼は私を捨てることもなかったのに、
揺り椅子に腰かけ、うとうとするだけ。

彼を抱くこともなく一日中腰かけていると、
とても憂鬱で悲しくなってしまう。
彼が早く帰ってくれなければ
間違いなく私は気が狂うわ。

ここで彼の顔を見れないなら、
あんたから彼に知らせてよ、
私は彼が去った所に居て
揺り椅子に腰かけ、うとうとしていると
一日中ずっと。


※　青字はトニ・ハーパーのヴァースを訳したもの。
メル・トーメはアップテンポで歌っているが、おおむねスロー気味にスウィングしており、エリントン・ナンバーの特徴なのかもしれないが、重めの倦怠感を感じさせる。


最初のレコーディングは、1941年にデューク・エリントン楽団をバックにアイヴィー・アンダーソンが歌ったもの。


作詞： リー・ゲインズ Lee Gains
作曲： ビリー・ストレイホーン、デューク・エリントン Billy Strayhorn, Duke Ellington (1941)


歌・演奏：
●エラ・フィッツジェラルド Ella Fitzgerald At Juan-Les Pins (Verve)
●メル・トーメ Mel Torme : I Dig The Duke, I Dig The Count (Verve)
●スー・レイニー Sue Raney : All By Myself (Capitol)
●トニ・ハーパー Toni Harper : Toni (Verve)
●ビリー・ストレイホーン Billy Strayhorn : Piano Passion (Storyville, 2005)



A LONELY COED

I just can't seem to get that campus bloom.
When I come in, the boys all leave the room.
I just don't seem to attract.
I'm just a lonely co-ed.

I wear my clothes like all the other girls,
I wear my hair with all the latest curls,
They just don't seem to react.
I'm just a lonely co-ed.

Maybe I don't know enough of the tricks,
Maybe I lack technique,
Maybe there's something that I could fix.
Maybe my line is weak.

While everybody else is making love
I sit with folded hands, the picture of
A total failure, a flop.
I'm just a lonely co-ed.


キャンパスのにぎわいに入って行けないだけなのかしら。
私が教室に入っていくと、男の子たちは出ていく。
魅力がないだけなのかしら。
私はただの寂しい女学生。
他の子たちと同じ服を着ているのに、
最新の髪型でカールしているのに、
何の反応も起こさないみたい。
私はただの寂しい女学生。
多分私はそういう秘訣を十分知らないのかも、
多分私は手管に欠けているのかも、
多分何かやらなければいけないことがあるのかも、
多分私の話が弱すぎるのかも、
他の人たちが愛を語り合っている間でも、
頭を抱えて坐る姿は、完璧なまでに
打ちひしがれ、打ちのめされた様子
私はただの寂しい、寂しい女学生


※：　タイトルは、"A Lonely Co-ed"と記されることもある。coed とは、co-educationalの略であり、男女共学の学校、男女共学の女子学生などを意味する。

ビリー・ストレイホーン初期の作品でありほとんど取り上げられることのない珍しい歌。
エリントン楽団の歌には演奏曲として作られ、後に歌詞が付けられることが多いが、この歌はアイヴィー・アンダーソンのために書かれたもので、軽くスウィングする小唄という風情がある。


作詞・作曲： デューク・エリントン、ビリー・ストレイホーン、エドガー・レスリー Duke Ellington, Billy Strayhorn, Edgar Leslie (1939)

歌：
●レベッカ・キルゴア Rebecca Kilgore : I Saw Stars (Arbors)



アイヴィー・アンダーソン（Ivie Anderson)
それまで、さしてヴォーカルに関心がなかったデューク・エリントンだがアイヴィー・アンダーソンを雇ったことで考えが変わることになる。アイヴィー (Ivie または Ivy)は1931年から慢性の喘息という持病のため退団せざるを得なかった1942年までの比較的長期にわたり在籍した。 It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing), I Got it Bad And That Ain't Good, Rocks In My Bed, I Don't Mind など多くの代表曲を録音しておりエリントン楽団で最も成功した歌手と言える。
彼女はまた、マルクス兄弟の『マルクス一番乗り』 (A Day At the Race, 1937) にも出演しその映画で All God's Chillun Got Rhythm を披露ている。。

彼女の退団後、エリントンはケイ・デイヴィス、ショーヤ・シェリル、マリア・エリントンの３人の美人歌手を同時に雇っていたこともあるが、アンダーソン程の成功は収められなかった。（マリア・エリントンは後にナット・キング・コールの夫人となる人だがデュークとの親戚関係はない。）

2010/07/17 訳
2013/03/01 レイアウト変更等

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