LAUGH, CLOWN, LAUGH

ただの見せかけかもしれないけど
　笑えよ道化師、笑うんだ道化師！
内側には何かの悲しみがあるかもしれないけど
　笑えよ道化師、笑うんだ道化師！
いい大人になり過ぎないでおくれ
ただヘンテコな姿の道化師パンチネロでいておくれ、おっさんよ　（※１）
　笑えよ道化師、笑うんだ道化師！

お前は場を明るくする役なんだよ
　笑えよ道化師、笑うんだ道化師！
顔に精一杯の微笑みを塗りたくって
　そして笑えよ道化師、しかめっ面はだめさ
みんなにお前の悲しみを見せちゃだめさ
道化師パリアッチオに徹して　　（※２）
　笑えよ道化師、笑うんだ道化師！



（追加歌詞　※３）
誰もがお前は仮面をつけているだけと疑っているかもしれないけれど
　笑えよ道化師、笑うんだ道化師！
誰もお前の笑顔が曇るのを見たくないんだ、
　笑えよ道化師、笑うんだ道化師！
あいつらのまやかしの表情を見せつけてやるんだ
嘘っぱちの気持を創り続けるんだ
決しておまえの本当の姿を見せつけないで、
　笑えよ道化師、笑うんだ道化師！
お前の思っていることなんて伝わらないんだから、
　笑えよ道化師、笑うんだ道化師！
辛いことなんか永遠には続かないだろうから
馬鹿を演じてうまく立ち回るんだ
　笑えよ道化師、笑うんだ道化師！
　笑えよ道化師、笑うんだ道化師！



※　
１：パンチネロ(punchinelo)：１７世紀イタリア喜劇またはあやつり人形の道化師、ずんぐりした人、へんてこな姿の男

２：この行は、手持ちのレコードのライナーノーツでは、"Be a Pollichinelle"、インターネットでは、"Be a pallietto"となっていたが、これが正しいかどうかははっきりしなかった。聞いた限りでは、シーラ・ジョーダン、アビー・リンカンともに「ビー・ア・パリアッチオ」と歌っているように聞こえる。(pagliaccio(伊)=clown のことか？）

３：追加歌詞は、アビー・リンカンがアルバムAbbey Is Blue(1959)で歌ったもので、正式な歌詞かどうかは不明。
ただ、歌の内容を見ると、道化師を演じなければならない黒人の無念、白人への精一杯の抵抗を歌ったもののように感じられ、このアルバムのために書かれたものかもしれない。（彼女は翌年に、マックス・ローチのプロテスト・メッセージを込めたアルバム、We Insist! - Freedom Now Suite (1960)にも参加した進歩派黒人歌手）


作曲のテッド・フィオ リト (Ted Fio Rito, 1900-1971)は、1920-40年代に活躍した、バンドリーダー、ピアノ、ハモンド・オルガン奏者、作曲家である。以前訳した Toot, Toot Tootsie! , レスター・ヤングなども演奏した I Never Knew (That Roses Grew) なども彼の手によるもの。

この曲は1928年の同名の無声映画のテーマ曲として書かれたもので、作曲者自身のオーケストラ演奏で世に知られた。
映画の内容は、ある道化師が巡業中に拾った赤ん坊を自分の娘として育てるが、大人になった娘は道化師を愛するようになる。道化師も女として娘を愛する気持ちを持つが、その気持ちを隠し彼女を求める青年と結婚させるといったドラマ。


インターネット上の歌詞では、イタリアオペラ「道化師」のテーマからアダプトした（Based on a theme from the Opera "I Pagliacci")、という記述があったが、これが正しいか否かは確認できなかった。


歌詞ソースは、インターネットで見られた英語歌詞及びアビー・リンカン、シーラ・ジョーダンＬＰを参考としたが、それぞれフレーズが多少異なり、不明な言葉もあったので適当に訳した。
インターネットでの歌詞からヴァースと思われる部分の訳を以下に載せる。

　[ヴァース]
　　人生は演劇、我々すべてはその一員
　　恋人、夢想家、道化師
　　夢想家と恋人はいつでも涙している
　　道化師は周りに太陽の光をふりまく
　　微笑みの人生は価値ある人生
　　道化師には幕が閉じるまでの間だけ

作詞： サム・M・ルイス、ジョー・ヤング Sam M. Lewis, Joe Young
作曲： テッド・フィオ・リト Ted Fio Rito
出典： サイレント映画 "Laugh, Clown, Laugh" 1928 より

CD, LP
● アビー・リンカン Abbey Lincoln : Abbey Is Blue (Riverside)
● シーラ・ジョーダン Portrait of Sheila Jordan (Blue Note)

2009/05/30 訳
2012/08/05 レイアウト変更等

Home　（ホームページ）　　 Menu　（上位メニュー）