Ⅰ
誰かが僕に、
キスがどんなに甘いものか話そうとしたら、
僕はこう言ったものさ「無理さ、
僕には無理さ」とね。
そいつが、いつか虹のふもとの
向こうで愛を見つけられると言ったら、
僕は微笑んで答えるんだ「無理だよ、
無理なんだよ、友達よ。」
そうであったらと夢見るなんて、
無意味なこと位知っているさ。
でも分かっていてもあり得ない
夢の中に生きるのは、そんなに悪くないよ。
こんなだから、誰かが嵐の
海の前で「良い航海を」と言ったら、
僕は大笑いして言うんだ「無理だよ、
僕には無理なんだ」。
Ⅱ
誰かが、いかに愛情が
まことのものかを説こうとした時、
僕はいつも言うんだ「無理だよ、
僕には無理なんだよ」。
そいつが、いつか虹のふもとの
向こうで君を見つけられると言ったら、
僕は「無理だよ、
無理なんだよ、友達よ。」と答えたに違いない。
そうであったらと夢見ることは、
僕には不思議すぎること。
でも今は、実際よりもきれい過ぎる
夢の世界に生きているように見えるんだ。
誰かが、月の光が
嵐の海を鎮めさせることもあると言ったら、
僕は「無理さ、
あり得ない」と言ったものさ。
けどようやく分かったのさ、
無理なものなんてないって、
君が僕の
そばにいてくれれば。
※:虹のふもと(rainbow's end)という言葉は、Moon Riverなどにも使われていた。
曲名と途中までの歌詞から報われない絶望的な恋を連想させる歌のようだが、
最後のフレーズで、恋する喜びを歌っているという、どんでん返しの落ちをつけた歌。
なお、日本語訳中の改行、インデントは元の歌詞本(Steve Allen's Songs : 1000 Lyrics with Commentary)の歌詞を踏襲したもの。
作詞・作曲 スティーブ・アレン Steve Allen
出典: アレン制作の NBC TV番組に書いた曲(1956)
CD, LP
● アンディ・ウィリアムズ Andy Williams : Sings Steve Allen / Two Time Winners
● ダイアン・シューア Diane Schuur : Timeless (GRP)
● ドロシー・コリンズ Dorothy Collins Sings Steve Allen (Coral)
● ハイ・ローズ The Hi-Lo's : Love Nest / All Over the Place
● ローラ・フィジー Introducing Laura Fygi (Mercury)
● スー・レイニー Sue Raney : 雨の日のジャズ (Capitol)