|
|
|
|
|
|
|
|
|
 |
|
IN THE SHADE OF THE OLD APPLE TREE
[Verse 1]
The oriole with joy was sweetly singing,
The little brook was bab'ling forth its tune,
The village bells at noon were gaily ringing
The world seemed brighter than a harvest moon;
For there within my arms, I gently pressed you,
And blushing red, you slowly turned away,
I can't forget the way I once caressed you;
I only pray we'll meet another day.
楽しそうなコウライウグイスが優しく歌っていた、
小さなせせらぎがその調べをさざめいていた、
村の鐘は正午の音を陽気に鳴らして
世界は収穫の月よりも明るく見えた；
僕の腕の中で、君の体に優しく抱きしめたから、
そして顔を赤らめ、君はゆっくりと背を向けた、
かつて君を愛撫した感触が忘れられない；
僕がただ祈るはいつまた二人が会える日がくること。
[Verse 2]
I've really come along way from the city,
And though my heart is breaking I'll be brave,
I've brought this bunch of flow'rs I think they're pretty
To place upon a freshly moulded grave,
If you will show me, father, where she's lying,
Or if it's far just point it out to me,
Said he "she told us all when she way dying,
To burry her beneath the apple tree."
本当にはるばる都会からきたもの、
たとえ僕の心は傷ついていたとしても勇気をふり絞ろう、
この可愛い花束をかかえてきたのは
新しく築かれた墓に置くため、
よければ、神父様、彼女の眠る場所を見せてください、
もし遠いようなら、ただ場所を示してください。
神父の言葉は、『彼女が亡くなる間際にただ言ったのは、
林檎の木の下に埋めてくれるようにと』
[Refrain]
In the shade of the old apple tree,
When the love in your eyes I could see,
When the voice that I heard, like the song of a bird,
Seemed to whisper sweet music to me;
I could hear the dull buzz of the bee,
In the blossoms as you said to me,
"With a heart that is true,
I'll be waiting for you,
In the shade of the old apple tree.
古い林檎の木陰で、
君の瞳には愛が宿るのが見えたあの日、
僕に聞こえた声は、まるで小鳥の歌だったあの日、
囁き声はまるで甘い音楽だった；
聞こえたのはうなるような蜂の羽音、
花の下で君は僕に言ってくれた、
『真心をもって、
あなたを待ち続けます、
あの古い林檎の木陰で』
＊＊＊英国映画 Vote For Huggett (1949) でペトゥラ・クラークが歌った歌詞＊＊＊
消えたヴァース
[Verse] (sung by Petula Clark)
In other lands I've wandered since we parted,
I seek the garden fair beside the stream.
I tread each well known pathway weary hearted,
For all I see recalls the old sweet dream.
No more on earth your loving smile will cheer me,
No more on earth your dear face I shall see—
Yet memories of the past are ever near me,
And linger round the dear old apple tree.
君と離れてから僕は他の土地をさ迷っていた、
僕が探し求めるのは小川の脇の美しい庭。
滅入る心でよく知られた小道をひとつひとつ歩く、
目に入るものすべてが懐かしくも甘い夢を思い起こさせるから。
もうこの世で君の愛らしい微笑が僕を元気づけることはなく、
もうこの夜で君の愛おしい顔立ちを見ることはない．．．
それでも過ぎ去った思い出はいつまでも僕の近くにあり、
そして愛しきも懐かしい林檎の木の周りに生きながらえる。
[Refrain]
In the shade of the old apple tree,
When the love in your eyes I could see,
When the voice that I heard, like the song of a bird,
Seemed to whisper sweet music to me;
I could hear the dull buzz of the bee,
In the blossoms as you said to me,
"With a heart that is true,
I'll be waiting for you,
In the shade of the old apple tree.
古い林檎の木陰で、
君の瞳には愛が宿るのが見えたあの日、
僕に聞こえた声は、まるで小鳥の歌だったあの日、
囁き声はまるで甘い音楽だった；
聞こえたのはうなるような蜂の羽音、
花の下で君は僕に言ってくれた、
『真心をもって、
あなたを待ち続けます、
あの古い林檎の木陰で』
(spoken)
And now if you don't mind,
I'd like to sing a new version of the same song written by some friends of mine
（語りで）
よかったら私の友だちが作った同じ曲を新しい歌詞にしたものを聞いて下さい、
(jazzy piano)
[extra Refrain]
In the shade of the old apple tree
And the river go down to the sea
Where children can play
On the lido all day
And the gorwn-ups have afternoon tea
Just a lido for you and for me
Vote for Huggette and that's what you'll see
A progressives are best
Vote for Huggett and rest
In the shade of the old apple tree
古い林檎の木陰で／川は海へと流れ／
子供たちが遊べるのは／屋外プールで一日中／
大人たちは午後の紅茶を楽しめる。
ただ屋外プールをあなたと私のために／ハゲットに投票したら分かるはず／
進歩派こそ最高／ハゲットに投票を、後は／
古い林檎の木陰で。
※ 日本では『リンゴの木の下で／明日また逢いましょう・・・』という歌詞でヒットしており逢瀬の約束を交わすハッピーな歌になっている。
しかし、ヴァース（シートミュージックでは Voice と記されている）は、故郷に残した若き日の恋と、かつての恋人の死を歌った、感傷的な歌で印象が異なる。1905年発表当時のティン・パン・アリーの歌は、概して老人が昔の恋人を思い出すという内容が典型でこの歌もご多分に洩れない。とはいえアメリカでのレコーディングの多くはヴァースが省略されており、日本と同様に『まるでアイスクリーム屋でのデートを約束した軽快な歌』に感じられているようだ。（下記『消えたヴァース』参照）
作曲のアルスタインは中西部の出身で、故郷のリンゴの木を懐かしみ、セントラル・パークを歩いていたときに、そこにはリンゴの木はなかったが、この歌のアイデアを得たという。彼はティン・パン・アリー初期の功労者の一人だが、ウェイン・キング＆ヴィクター・ヤングなどと作曲した Beautiful Love (1931)、ガス・カーンが歌詞を書いた Memories (1915), Pretty Baby (1916) などが今も残る。
初期のレコードとしてはヘンリ・バー、アルバート・キャンベル、ヘイドン・カルテット、アーサー・プライアー楽団などがあり人気曲となり、シートミュージックの売り上げは百万部を超えた。1933年にはデューク・エリントンがリヴァイヴァルさせており、その後もミルス・ブラザーズ、クロード・ホプキンス、ベニー・グッドマン、スポーツメン、フォア・エイセズなどが歌い、バーバーショップ・カルテット、ディキシーランド・ジャズなどのフェヴァリットとしても現在もよく演奏される。なお1937年にエドガー・ハーバーグ＆ハロルド・アーレンはこの歌の続編として、In the Shade of the New Apple Tree という歌を書いている。
緑字で訳したペトゥラ・クラークのヴァースは、元の楽譜にはなく映画用に書かれたものなのかもしれない。当時17歳ころの彼女の歌は清楚でこの歌のベスト・パフォーマンスの一つだろう。
（SecondHandSongs によるパフォーマー・リスト参照）
19世紀後半から20世紀前半におけるティン・パン・アリーの歌は、演芸場で歌い手が、歌のいきさつとなる物語や背景を語るように歌い（ヴァース）、盛り上がった所で、歌手がバックコーラスとともに（時に踊りながら）、歌によっては客と一緒に、物語の主題や結果を繰り返し歌う形式だった。主題部分の多くはＡＡＢＡ形式３２小節で、コーラスまたはリフレインと言った。
ティン・パン・アリー楽譜の標準的なフォーマットは、ヴァースがほとんどの場合歌の一部として付加されていた。しかし20世紀初頭の、レコード、ラジオの急速な普及に伴う時間的制約からヴァースは録音や放送から省略されるようになった。更にダンス・カフェではテンポがずれることから踊りの妨げとなりヴァースは演奏されることがなかった。しかもとってつけたようなヴァースも多く、徐々に邪魔な存在と変わってきた。 1940年代までは楽譜売り上げがヒットの目安だったがそれ以降、歌のヒットの目安はレコード売り上げによって代わられた。ASCAP ストの影響もあり、カントリー、ブルーズ、ロックなどに若者が熱狂してからは、ポピュラー・ソングにおけるヴァースは役目を終えてしまったようで、それはティン・パン・アリー産業の終わりでもあった。（ミュージカル・ソングにおける、セリフから歌に変わる橋渡しとしてのヴァースの役割はまた別の話だろうが）
参考：
● パーラー・ソングス The Lost Verses of Tin Pan Alley
● 書籍：The Rise and Fall of Popular Music
作詞： ハリー・ウィリアムズ Harry H. Williams
作曲： エグバート・ヴァン・アルスタイン Egbert Van Alstyne (1905)
YouTube
■ ヘンリー・バー
■ ミルス・ブラザーズ＆ルイ・アームストロング
■ ペトゥラ・クラーク
■ ディック・ミネ
2025/12/05 訳
ページトップへ
上位メニューへ