● オーケストラピットにいた凄い奴ら ●
2006/06/06のエッセイで「ジャズスタンダードになった歌を最初に歌ったミュージカル女優たち」をあげたが、次を追加する。
★ジンジャー・ロジャース(Ginger Rogers)
・But Not For Me("Girl Crazy", 1930)
・Embraceable You( 同上 ）
・I Won't Dance ("Three Sisters" , 1935)
（アステアとの共演映画は除いた）
ジョージ＆アイラ・ガーシュイン兄弟のミュージカル「ガール･クレイジー」は1930初演。主演のエセル･マーマンを週休35ドルの秘書から、週給350ドルの大スターにした舞台でもある。
この時オーケストラピットにいたのは、レッド･ニコルズ・オーケストラでサイドメンには、ベニー･グッドマン、ジミー・ドーシー、グレン･ミラー、ジーン･クルーパ、ジャック・ティーガーデンなど、後の大物ミュージシャンがいたという。（レッド･ニコルズは映画「五つの銅貨」のモデル）
このミュージカルからは、次のような名曲も紹介されている。
・But Not for Me
・I Got Rhythm
・Embraceable You
・Bidin' My Time
最後の"Bidin' My Time"はそれ程有名でないが名曲。歌ったのはThe Foursome。
四人組とでも訳すのか。カウボーイ姿の４人の男が、のどかにハーモニカ、オカリナ、ジョーハープ（Jaw's harp)、ティンフルート(Tin Flute)を演奏し、ヴァースで当時のヒット曲を引用した上で、次のように歌う。
♪おいらはじっと時が来るのを待っているんだ、
だっておいらはそんな奴なんだから、
他の奴らが、うきうきしている間に、
おいらは一生懸命に．．．
じっとしているのさ、
♪来年こそ、来年こそ
何かいいことが起きるさ
今年は、今年は
ただうたた寝をして過ごすだけ
♪そして、じっと時が来るのを待っているんだ
だっておいらはそんな奴だから
いやだとは思わないさ、
おいらのありさまを、
ただ待っているこのさまを
オーケストラピットにいたというグレン･ミラーだが、面白いことに"Bidn' My Time" を歌うカウボーイの姿は、映画「グレン･ミラー物語」中のホテルのステージシーンに表れる。
ジャズ･デュオのジャッキー＆ロイは、Ａ面「By Jupiter」、Ｂ面「Girl Crazy」をルーレット・レーベルから出している。いい曲ばかりなのでお勧めだが、ＣＤ化はされていないようだ。
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● 1930年 スタンダードの宝庫(A Cornucopia of Standards) ●
前年に始まった大恐慌を受けた、1930年はブロードウェイの上演は減り厳しい年であったが、「ガールクレイジー」の曲以外に次のようなスタンダードが数多く生まれている。
・Body and Soul
・A Cottage for Sale
・Dancing on the Ceiling
・Extactly Like You
・Falling in Love Again
・Fine and Dandy
・For You
・Georgia on My Mind
・Get Happy
・I'm Yours
・I've Got a Crush on You
・Just a Gigolo
・Little White Lies
・Love for Sale
・Memories of You
・On the Sunny Side of the Street
・Please Don't Talk About Me When I'm Gone
・Puttin' on the Ritz
・Something to Remember You By
・Them There Eyes
・Time on My Hands
・Walkin' My Baby Back Home
・You Brought a New Kind of Love to Me
・You're Driving Me Crazy
（資料：Sentimental Journey 他）
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