◆◆◆ 五月ではなく ◆◆◆
スーパースタンダードである、「君は我がすべて All the Things You Are」（作詞：オスカー･ハマスタイン、作曲：ジェローム・カーン）は1939年のミュージカル"VERY WARM FOR MAY"の中の一曲。残念ながらこのミュージカル、失敗作だったようで５９回で打ち切られた。主演ではないが、ヴェラ・エレンも出演したようだ。
よくレコードなどのライナーノーツにはこのミュージカルのタイトルを「五月にしては暖かい」「五月にしては暑すぎる」と紹介しているようだが、"Broadway Fake Book"にはこのステージの内容が簡単に乗っているので紹介すると．．．
『この話のメイは少女であって月のことではない。俳優の父、脚本家の兄の反対を押し切って、メイ･グラハムは家出をして、夏季劇場に参加する。家族は心配して彼女を探すが、彼女が見つかったときは、メイは夏季劇場で大成功を収めていた。話の内容は大不評でハマスタインもそれを認めているが、偉大なスタンダードAll the Things You Areを残したことでこのショーは賛美されている。』
つまりタイトルの意味は「メイにはとても暖かい」が適切だろう。原作もハマスタイン、どうもバックステージものは彼には合わない気がする（広義にはShow Boatもバックステージものだが)。なお夏季劇場と訳した言葉の原文は、Barn theater 。
けっしてスタンダードとはいえるものではないが、ジェリ･サザーン、メレディス・ダンブロッシオ、マーガレット･ホワイティング、パティ・マクガヴァーンなどが歌っている、"All In Fun"もこの舞台から生まれた。
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